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座敷童が小豆ご飯に飽きたと言っています。  作者: ヴぃc
番外編その2
91/93

梅干しおにぎり(中編)

拙作をお読みいただき、ブックマーク、感想ありがとうございます。出さなければと思いつつ出せなかった残暑見舞いがやっと投函できました。今年の夏の宿題は終わりです。

 大画面に写される自分のパソコンモニター。

「Kちゃんさん初めまして。いつもKちゃんさんの素晴らしいパフォーマンス拝見させていただいております。当方ゲーム関係のユーチューバーをしております『チームわらし』のマネージャーを居ております京極院と申します。私どもの大切な方のお婆様が1年ぶりに――」


 そしてカラフルな文字で流れるテロップ「大切な方のお婆様キターーーー!!!おばぁちゃんいらっしゃい。ゆっくりしていってね。」

 なんだか真面目なのかふざけているのかよく解らない動画だ。

 アクロバティック演奏を5人でするには場所の手配が難しいからという理由で丁寧なお断りのメールがKちゃんから届くと「慌てふためく大介。それに比べてドドドーーーーーンこんな事もあろうかとライブハウスを買い取っていたわ・ら・し!!!」あ~、自画自賛はちょくちょく挟んできそうだなぁ。ビデオ通話にしてソプラノリコーダーを練習する『チームわらし』ゲラゲラ笑ったり、けなしたり、和気あいあいとした練習風景が微笑ましい「ずぶの素人もコラボの為なら練習しまくります!!!」などと、どこの街頭演説だよ。

 当日のお弁当作り「まだのりちゃんはボクたちのプロジェクトに気が付いていないモヨウ。このまま当日までバレない事を祈る!!!」そのテロップを見たのり子さんが素っ頓狂な声を上げた。


「え~~~!?あの日は大介君の運転練習じゃなかったの?ちっとも気が付かなかったよ。」


 うぇ~いとハイタッチをかまし合う『チームわらし』そっかぁ作戦の半分くらいは成功したってことだな。お弁当を食べてからアリバイ工作の為お使いミッションに追い出される僕。「その頃のりちゃんは、洗濯物を取り込んでいた。」鼻歌まじりに洗濯物を取り込むのり子さんがドアップになる。


「ちょっと~盗撮じゃん。」


 ドッと笑いが巻き起こった。おばぁさんも声を上げて笑っている。

 場面が変わって指慣らしに1曲合わせる。流石世界のKちゃん『チームわらし』に合わせながらアレンジを膨らまして演奏している。男性でピアノが弾けるだけでもモテ要素抜群なのに、空間を掌握する能力がもうネ申。指慣らしが終わり、画面からはみ出したカハクちゃんが何やらゴソゴソしている音だけがステージに静かに響く。画面に戻って来た時にはイノシシの頭をかぶっていた。


「あっはっは~。カハクちゃん。まさか本物じゃないよね?」

「おばぁちゃんも本物かとびっくりしたよ。」

「フェルトとモヘアで作った。意外と簡単だった。」


 あのクオリティで簡単なんて言ったらレイヤーさんからオーダー入りまくる気がする。電子ピアノの前にソプラリコーダーを刀に見立てざっと構えた4人が

「全集中っっ。〇〇の呼吸。△△の型。」と叫んで技を繰り出す。が、映像がぼやけて何をしたかわからない「動きが早すぎて撮影困難!!!」とテロップが流れた。ゆっくり動いて技を繰り出す4人が何テイクか撮り直していると、


「遅くなりました。」


 元気な挨拶と共に本家アーティストのライザさんがステージに上がってきた。固まる5人。そこで画面は一転して、編集部の担当さんと話す僕。


「インタビューでもエッセイでもなんでもやりますから、ライザさんの事務所に口をきいて下さい。僕どうしてものり子さんの希望を叶えたいんです。」


 うわぁ恥ずかしい。こんな場面まで撮影されていたんだ。


「大介君、あんなちらっとつぶやいた一言よく覚えていたね。」

「僕もKちゃんの演奏でライザさんが歌ってくれたらいいなぁってあの時思いましたから。」


 軽く音合わせをしたライザさんの合図とともに、『チームわらし』が技を繰り出すとピアノ演奏が始まりライザさんが歌い始めた。オファーは出したけど僕もどんな演奏だったか見るのは今日が初めてだが鳥肌物だった。のり子さんも頬を赤めて画面にかぶりつきで見ている。サクッと1回でOKが出て握手をするとライザさんは次の現場に移動してしまった。他の曲を演奏する間にも、のり子さんや、僕の映像がちょくちょく挟まれて、演奏終了後ヘリコプターでの帰り道、上空から撮影した夜景が画面いっぱいに映し出された。


「わぁ、本当に綺麗だね。おばぁちゃんも大介君のヘリコプター乗せてもらったら?」

「おばぁちゃん、大介随分運転うまくなったからご飯食べたら夜のお散歩しよう。」

「それは乗せてもらわないといけないねぇ。」


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