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座敷童が小豆ご飯に飽きたと言っています。  作者: ヴぃc
第1章 アラサー無職彼氏ナシから頑張るゾ
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なすの揚げびたし

 とてて~と小走りで駆け寄ってくる2人。さぁさぁ焼きもろこしを召し上がれ。

丸ごと一本にガブリとかみつくわらしさまと、ちまちま1粒ずつちぎっては口に入れるカハクちゃん。トウモロコシの食べ方って笑っちゃうくらい様々だよね。私は1列ずつはがすように食べる派。

 注いだコーラを飲み干すと、続きをやってくる~ってまた庭へ飛び出していった。


 二人が庭仕事をしている間に、悠ちゃんに頼まれた仕事を片付けるとしましょう。


 パソコンに集中していたからか、気が付けばもう18時。そろそろ夕飯の準備をしますか。余分にチンしておいたとうもろこしを包丁を使ってVの字に1列切れ目を入れる。あとは指でぐっと押せば全部綺麗に取れていく。これに小麦粉と片栗粉をまぶしておく。

 お次は沸騰したお湯に鶏がらスープの素、ちぎったレタス、セロリの葉っぱ側を投入。スライスしたキュウリはつぶした梅と和えて冷蔵庫に戻す。薄めためんつゆをタッパーに準備したら、好みの大きさに切った茄子を素揚げしていく。揚げたてをタッパーにジャンジャン入れてく。茄子を揚げ終わったらさっきのコーンをかき揚げにして行く。もう火が通っているからさくさく揚げる。コーンの間の衣が少し柔らかいのが私は好きなのでしっかりじっくり揚げない。これぞ外はサクッと中はもっちり。そろそろフォーを投入するころだね。

 冷ややっこに梅キュウリをのっけて、茄子には刻み葱と鰹節、チューブからしょうがをちょびっと出して、フォーが茹で上がったらこんばんのおうちご飯でっきあがり~。


「二人ともごはんだよ~~~~。」

「「は~い。」」


 どうやらカハクちゃんの人見知り期は終了したようです。餌付けしたようでなんだかなぁ。

 手を洗った二人が並んで座ったので、レモン汁、ナンプラー、塩をテーブルに置いて説明する。


「このなんちゃってフォーに、お好みで味付けしてね。では、」

「「「いただきます。」」」


 二人とも食べずにまた撮影会が始まった。


「二人一緒のところを撮ってあげようか?」


 おずおずスマホを渡すカハクちゃんが、


「お料理も一緒に撮ってほしい。」


 とテレテレしながらお願いしてきたので、少し椅子をくっつけて座ってもらってパチリ。かわぇぇなぁ。スマホを返すとカハクちゃんは、1品ずつ写真を撮り始めた。わらしさまは全体図しか撮らないからこんなところにも性格の違いが出てるんだね。

 わらしさまは、さっそくかき揚げを口に放りこんでいた。やけどしないよう気を付けておくれよ。

 カハクちゃんは、梅キュウリを口に含んだとたん酸っぱい顔をした。うちの梅干しは、塩っ辛い昔ながらの梅干しなのだ。お料理に使う梅干しはやっぱり酸っぱくないとね。酸っぱい梅干しのレシピクックパッド先生で探したけど、自分ではどうにもうまく漬けられなくて、残り少ないおばぁちゃんの梅干しは大事に大事に、ここぞって時だけ使っている。

 こんな事なら、おばぁちゃんと一緒に梅干し漬けておけばよかったな。いつでも梅干しが瓶に詰まってたから、食べられなくなる日が来るなんて想像もしていなかった。どこかで梅干し教室やってないかな?

 何も入れていないフォーをすすりながら、次はレモンを入れる。そのまま→レモン→塩→ナンプラーが私の順番。

 わらしさまは、ナンプラーの匂いをクンクン嗅いで顔をしかめたかと思ったら、レモンと塩を一気にかけていた。かはくちゃんは、ナンプラーの量を味見しながら少しずつ足した後にレモンをかけていた。

 こうやってみんなで食卓を囲むと、同じ晩ごはんなのに美味しさが全然違う。幸せな食卓だね。


 20時になると、カハクちゃんがソワソワし始めた。どうやらお庭に出たいらしい。


「じゃぁ、ガリガリ君1本ずつ持って縁側で食べよう。」

「「うん。」」


 目をキラキラさせる二人。月でも見ながら食べようかなと、部屋の電気を消した。

 縁側から眺める庭は、ビフォーアフターを投稿したくなるぐらい見違えるような庭園に様変わりしていた。生け垣の高さは揃っていて、丁寧に雑草が抜かれたお庭からは、アジサイ以外の草花も顔を出していた。


「あそこのホタルブクロ見て。」


 カハクちゃんの指さす方を見ると淡い光が瞬きながらふよふよと漂っていた。


「蛍っっ。」


 つい大きな声が出てしまった。カハクちゃんはこれを見せたかったんだね。おばぁちゃんと田んぼまで蛍を見に行ったのもこんな時期だったな、と思い出した。私、たくさんおばぁちゃんとの思い出あったんだね。


「カハクちゃんありがとう。」


 お礼を言って点滅する光を静かに眺めた。






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