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座敷童が小豆ご飯に飽きたと言っています。  作者: ヴぃc
番外編その2
80/93

うずみ豆腐

拙作をお読みいただき、ブックマーク、評価、感想ありがとうございます。なんだかちょろちょろブックマークが増えているなぁと思ってたら、ジャンル別日間ランキングTOP100の中にランクインしてました&ユーザー登録100人になりましたのお礼投稿です。いつもありがとうございます。

明日からは12国記シリーズ読みたいけど、台風で入荷が遅れたりしないか心配です。

 のりちゃんが熱を出した。最近ずっと悠ちゃんの結婚式で披露する余興の動画作りに根を詰めていたから疲れが出たんだと思う。

 最初は今流行りの『フラッシュモブ』をやろうって意見が上がってたらしいけど、運動が苦手なのりちゃんが尻込みして、代替え案として『サプライズムービー』を提案した所、新郎新婦の所縁の地を撮りに行ったり、お祝いコメントを友人や職場の人に動画をスマホで撮って送ってもらったりしてそれを編集作業をする係に任命されたんだって。

 ボクはここぞとばかりに、動画編集に名乗りを上げたんだ。ユーチューバーの名に懸けてすんごい動画に仕上げてやるっっ!と鼻息荒く宣言した。ボクは、のりちゃんに良い所を見せれる機会は1つも逃さないんだぞ。

 しかし、その意気込みに水を差す奴が居た。大介だ。


「わらしさまが動画編集しちゃったら、悠さんのお祝いにならないんじゃないですか?こういう余興は少し素人臭いぐらいが丁度いいと思いますよ。」

「デザイン事務所の社員が結婚するんだから、ちょっと素人臭いのはアウトじゃないかなぁ?悠ちゃんの為に私頑張って編集するから、わらしさまやり方教えてくれる?」

「任せてっっ。」


 こうしてボクはのりちゃんに動画編集を教える先生になったんだ。人に物を教えるのって難しい。自分で操作するなら、ちゃっちゃーのぺんぺーんで終わるのにのりちゃんへ操作手順を教えても、何が分からないかが分からなくてどうやって教えればいいか途方に暮れてしまった。

 分からないなりにのりちゃんはコツコツ頑張った。


「あ~~~っ。」


 だの


「消えちゃった~。」


 だの悲惨な悲鳴を上げながらも頑張った。その甲斐もあって悠ちゃんの結婚式で上映する『サプライズムービー』は無事完成した。

 きっとのりちゃんは、ホっとして熱が出たんだと思う。

 ここはスパダリ候補のボクがのりちゃんをしっかり看病する番だ。しゅるしゅるっと大人サイズになったボクは甲斐甲斐しくのりちゃんのお世話をする。大介なんかをのりちゃんの部屋へ一歩たりとも侵入させないんだからな。

 冷えピタを首の後ろとおでこに貼りなおしたり、ポカリスエットを持って行ったり。のりちゃんはスヤスヤ寝てるし、看病するって思ってた以上にする事が無い。

 しゅるしゅるっと子供サイズに戻ってのりちゃんの手を握って様子をうかがう。まだ手も熱いから熱が下がるのにはもう少し時間がかかりそう。

 暫くのりちゃんの寝顔を眺めていたら、う~ん。と唸ってのりちゃんが目を覚ました。


「のりちゃん。もうすぐ薬飲む時間だよ。食欲はある?まだ桃缶とかがいい?」

「わらしさまずっと手を握っててくれたの?病気の時って一人だと心細いから嬉しいな。」

「いつでもボクが看病してあげるけど、健康が一番だからね。」

「ふふふ。ありがとうね。わらしさまが作ったうずみ豆腐が食べたいな。」

「ボク作って来るからそこのポカリスエット飲んで待ってて~。」


 とてて~と走って階段を降りるとボクは台所に向かった。


「あ、わらしさま。のり子さんの具合はどうでしたか?」

「のりちゃんが、ボクの作った(・・・・・・)うずみ豆腐が食べたいって。大介は引き続きソロプレイでもモンスター倒せるようにゲームしておけよ。」

「流石に寝ないでプレイするわらしさま達との差は一朝一夕では縮まらないですよ。」

「もうすぐイベント始まるんだから足を引っ張らないように気合入れて頑張れよ。」


 そう言い残して大人サイズになったボクはいそいそとのりちゃんの為にうずみ豆腐を作り始めた。

 鍋に出汁を作っている間に豆腐を上下半分に切る。小鍋に出汁を少し分け入れて豆腐を投入。豆腐を温めている間に残りの出汁に白みそを溶く。

 丼に温まった豆腐を敷いてその上に温かいご飯を乗せる。ご飯の表面が少し見えるくらいまで味噌汁をかけてきざみ海苔を乗せたらうずみ豆腐の完成。いつものりちゃんがお正月のおせちに飽きた頃に作ってくれたシンプルなうずみ豆腐。野菜や、辛子を乗せるレシピもあるんだよと、のりちゃんが教えてくれたけど、まだ喉が痛いのりちゃんにはこのシンプルなうずみ豆腐がぴったりだ。

 お盆に丼とレンゲ、薬とお水を乗せてのりちゃんの部屋に運ぶ前に大介に声をかけた。


「大介の分もうずみ豆腐作ってあるから自分でよそって食べろよ。」

「ありがとうございます。切りのいいところで一旦やめますね。」

「さっさと食べたら洗い物しなくていいからゲームに戻れよ。」


 デキル男のボクは、大介への(ゲームの)監視も怠らない。のりちゃんが美味しいって言ってニコニコする顔を思い浮かべ早く元気になりますようにとおまじないもしてボクは階段を上った。

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