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座敷童が小豆ご飯に飽きたと言っています。  作者: ヴぃc
大介のプロポーズ大作戦
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『チームわらし』の暗躍前編

 わらしから”招集~”とLINEがきたので、のり子ちゃんが仕事でいない昼間に家を訪ねた。モチロン頻繁に呼び出されるので怠い私は、近くの神社の鳥居でいなりを呼び出してのり子ちゃんの家の壁に設置した鳥居まで便乗転移をしている。今日の議題はのり子ちゃんがどうやったら大介を頼もしく思うかと言うしょうもないものだった。


「あたしと兄さまの弟子達でローテーション組んでのり子さんの護衛をしている時に感じたのは、のり子さんに運転手が居たら便利そうだなぁって事かなぁ?」

「じゃぁ大介を自動車学校へ通わせればいいんじゃないか?わらし大介に車校へ行けって命令しろよ。」

「のり子ちゃんは、大介に車出して。なんてお願いしにくいからのり子ちゃん名義で作った会社の社員にした方がいいよ。お給料発生したら遠慮なく大介の事こき使えるでしょ?」

「い~や~だ~。のりちゃんはボクが養うんだから。大介に給料なんて払いたくない~。」


 床に寝転がって手足をじたばた動かすわらしを私は冷めた目で見つめた。


「ビジネスカードにすればいいじゃん。」


 いなりがドヤ顔で提案した。


「いなり!!冴えてる。早速大介のビジネスカードの発行手続きするっっ。」


 PCのモニターに向かってカチャカチャキーボードで入力していくわらし。


「どっちにしたってわらしが稼いだお金なんだから同じじゃん。」


 ぼそりとつぶやく私に、チコちゃんがし~っと人差し指を口に当てた。のり子ちゃんを養いたいわらしは、大介をヒモのままにしたいらしいけど、ヒモって頼りにしづらくない?


 無事に自動車免許を取得した大介は、のり子ちゃんの買い出しに車を出したり、みんなで遠出をしたりするのに主に『チームわらし』に重宝がられた。

 旅先でのり子ちゃんと大介を2人きりにする為に、いなりがわらしを羽交い絞めにしてチコちゃんが口を押えるなんて師弟の阿吽の呼吸を私は感心して見ていた。そう。私は無駄な労力を使いたくないから見ていただけ。

 のり子ちゃんの中では良くて弟ポジション悪くてただの下宿人。無関心ではないけど大好きでもない。やっぱりヒモを頼るってちょっと難しくない?


「わらし、やっぱり大介働かせないとのり子さんに男として見てもらえないんじゃないかなぁ?」

「い~や~だ~。のりちゃんはボクが養うんだ~~。」


 床に寝転がって手足をじたばた動かすわらしを私は冷めた目で見つめた。なんかデジャヴ。


「大介に小説書かせればいいじゃん。」

「かはくちゃん、大介に仕事させる気?」


 宿敵をにらむような鋭い目つきで振り向いたわらしに、


「売れてなくても小説家って職業欄には書けるじゃない。」

「かはくちゃん!!冴えてる。」


 ダイニングのドアをバタンと開けてわらしは大介に小説を書くよう強要しに行った。のり子ちゃんに家族を作ってあげたいと言いながらもわらしは割とメンドクサイ方向にハードルを上げ過ぎだと思う。

 

 あれから暫く怠い呼び出しが無くなってやれやれと思っていたら、今度はチコちゃんから”招集~”ってLINEがきた。


「大変大変。勝が大阪から地元に戻って来てるの。」

「チコちゃんそんな所まで隠密行動させてるの?」

「オレがチコに頼んでおいた。」

「そうだよ。この前みたいに電車で偶然会うかもしれないでしょ。ボクいつか勝をギッタギタにしてやりたいと思ってたもん。」


 その言葉で私はひらめいた。のり子ちゃんが、大介を頼もしく思って勝にざまぁも出来て一石二鳥な『吊り橋効果大作戦』を。

 いなりの招集にいつも怠そうだったかはくちゃんが急にカッと目を見開いたと思ったら実にイキイキとわらしや兄さまに指示を出すのをあたしはちょっと引き気味に見ていた。

 兄さまに貧乏神を勝の家に派遣しろだの、わらしに枕返しを勝の家に派遣しろだの、わらしが考えているギッタギタよりもえげつない計画になってきた気がする。

 あたしもかはくちゃんから、「AirDrop痴漢」のやり方をレクチャーされた。なんでも勝とのり子さんを遭遇させて大介がのり子さんをかばえなかった時の保険らしい。十中八九大介はフリーズして手も足も出ないと思うんだけど、そんなトラップを嬉々として仕掛けていくかはくちゃんだけは絶対に敵に回さないでおこうと心に誓った。


 こそ~っとドアを開けて大介が寝ているのを確認したボクは、かはくちゃんからの指令で大介の耳元でボソボソとつぶやき始めた。


「出版記念パーティーでのりちゃんにプロポーズしろ。」


 なんでも小さな小人がこの作戦で人間に思い通りの夢を見させたという児童書の受け売りを、半信半疑で毎晩実行している。こんなんでヘタレの大介がのりちゃんにプロポーズしてくれるなら苦労しないって~の。

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