映画館のポップコーン
この作品は、2018年の6月7日に生まれました。数ある作品の中からこちらにたどり着き、読んでいただき、ブックマーク、評価、感想ありがとうございます。生誕前夜祭的な感謝の気持ちを込めて久しぶりに番外編です。
金曜日の映画番組で、高校生探偵が悪の組織に薬を飲まされて小学生になる劇場版アニメが年代順に放映されるようになると、GWが近づいて来るなぁとひしひしと感じる。
小玉スイカを半分に切って各々がスプーンですくって甘いスイカを堪能しつつテレビ画面にくぎ付けだ。
「のり子さんは毎年GWは映画館で見てるんですか?」
「うん。やっぱりこの映画見ないとGWだって実感がわかないんだよね。」
「のりちゃん!ボクも映画館で一緒に見たいっっ。」
目をキラキラさせて、すごく楽しいことを思いついたとわらしさまがはしゃぐ。
「え?わらしさま流石に今から映画館は作れないよ?」
「やだやだ。のりちゃんと一緒に映画行きたいっっ。」
床に寝転がって手足をじたばたさせるわらしさまをしり目にスマホで何やら調べていた大介君が、
「わらしさま。このショッピングモールに映画館も入っているから、ここの土地だけ買収すれば、僕が車で連れて行けますよ。」
随分と大介君もわらしさま達に毒されてきていると思う。
「その手があった。ヒモのくせに大介冴えてるな。早速不動産屋に手配してもらうぞ。」
最近土地の買い過ぎで到頭不動産屋を1軒買収したわらしさまは、なんでも電話1本でサクッと注文する。
ショッピングモールの土地って一体いくらするんだろう?いくらかかったとしてもお金を出すのは、わらしさまだからね。
その後ショッピングモールの土地を買収したわらしさまは、いつ映画を見に行くかと毎日のように私に聞いてくる。
「わらしさま、まだ公開日前だよ。」
「いつ公開されるの?」
映画のレビューアプリを開けて調べると、
「4/12から公開されるみたい。」
「のりちゃん4/12に行こう。」
「大介君にその日都合がいいか聞いてからね。」
「大介なんて毎日家にいるじゃん。」
「いやいや、家で仕事してるし、たまに編集さんと打ち合わせしてるでしょ?大介君も社会復帰に向けて助走をつけてる大事な時期なんだよ。」
「ヒモのくせに生意気だ。お~い大介~。」
とてて~と走って大介君の部屋に押し掛けるわらしさまは、初めての映画館デビューに大はしゃぎしている。
バタンとドアを開けたわらしさまが大きな声で、
「のりちゃん。大介行けるって。」
「私はその日仕事だから、レイトショーになるよ。稲荷様とカハクちゃんも誘ってみようか。」
「ボクLINEするね。」
直ぐに2人から行くと返事が来たので大人5枚のチケットを予約した。
映画を最後まで見ると23時を超えてしまうので、子供サイズじゃ入場できないもんね。
前の日からソワソワが止まらなかったわらしさまとは、映画館で待ち合わせにした。流石に仕事が終わってから家に帰っていたら映画に間に合わない。せっかくだからフードコートでわらしさま達に買い食いさせてあげたいしね。フードファイターな彼等なら、買い食いした後でもポップコーンは別腹で食べれるだろう。うむ。
「のりちゃ~ん。こっちこっち。」
大人サイズのわらしさまが両手をぶんぶん振っている。大人サイズでいつもの仕草じゃギャップがあり過ぎて、周りのお客さんがドン引きしている。
超美形の妙齢な男性が子供っぽい仕草。シュールすぎる。
「のりこちゃんこんばんは。」
カハクちゃんは小さく手を振ってくれた。
「のり子遅いぞ。」
仁王立ちでふんぞり返った稲荷様は、オレ様具合がとても板についてて大人サイズの方がしっくりくる。
「カハクちゃん、稲荷様こんばんは。遅くなってごめんね。大介君は?」
「大介には場所取りさせてるっっ。」
わらしさま本当に大介君のへの下僕扱いが半端ない。……不憫な大介君……南無南無。
『チームわらし』はあ~でもないこ~でもないと何を食べようか悩んでいる。ここはみゃーみゃー県民のソウルフード1択じゃないのかしら?
本当だったら、ラーメンにサラダセットを付けたいところだけど、ポップコーンを食べたいからラーメンだけで我慢。そんな私とは反対に、『チームわらし』with大介はちゃっかりサラダセットを付けていたし、他のお店でGETしてきたお好み焼きや、天ぷらもがっつり食べていた。
飢えたハイエナ達の腹が満たされたのでいざ映画館へレッツらGO!
予約したチケットを発券して、ポップコーン売り場へゾロゾロと移動する。
何故にペアセットの塩とキャラメル味のハーフ&ハーフを1人ずつ注文しているのでしょうか?そりゃぁ甘いしょっっぱいスパイラルは最高だけどさ。ジュース2つも飲んだら途中でおトイレに行きたくならないのだろうか?
私は、大介君と仲良く半分こする事にしたけどね。普段はアイスコーヒー派なんだけどポップコーンやハンバーガーだと何故かコーラが飲みたくなるから不思議。
トレーにポップコーンとジュースを持って指定席に座ったわらしさまは、初めての映画館デビューを無事に果たした。シリーズ初の海外ロケーションはここ数年ちょっとマンネリ化していたのを払しょくする出来であった。
暫く映画館通いが続きそうなよ・か・ん。




