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座敷童が小豆ご飯に飽きたと言っています。  作者: ヴぃc
番外編その1
64/93

干し柿入りのなます

新年明けましておめでとうございます。

昨年は、拙作をお読み頂き、ブックマーク、評価、感想ありがとうございます。

暫く活字の海に埋もれて至福のときでした。本年も宜しくお願い致します。

 わらしさま達が鬼の様に餅つきに興じていたから、私は、「餅 レシピ 人気」なんてググっていたわけですが、みんなそれぞれ方向性が違うらしく迷走していたのをただぼんやりと眺めていた。

 まとめ役の筈の大介は、もだもだして役に立たない。

 奇跡的に手に入れた菜の花を、湯がいて水にさらすと、ぎゅっと絞って、醤油、辛子、酒を混ぜ合わせたものと和えて胡麻を振りかける。

 ……うん。お正月料理と言われれば否定されそうだけど、食べたいものを作って何が悪いんだ!?と大きく開き直る。

 大体、お節料理の縁起担ぎに沿っているが美味しいか美味しくないかと問われればびみょう。ならば美味しいものを食べたいだけ食べれば良いではないか。

 冬至の「運盛り」を粛々と遂行したけれど、誰も気づいてくれなかった。

 まぁそれくらいがいいんだろうけどね。

 そんな中、秋に結婚式を挙げたナホちゃん夫妻が年末の挨拶に来てくれた。

 結婚してからの新生活についてや、未来への展望などを聞きながら、こちらもホコホコと温かい気持ちになる。

「おみや」に干し柿が入っていたので、早速お正月料理に加えることにした。

 人参と大根をスライサーを使って千切りにして塩を振る。

 水気を絞ったら、千切りにした干し柿と一緒に酢を振りかける。後は冷蔵庫へIN。

 本当はレーズンも入れたかったけど、年末冷蔵庫在庫処理週間で、既にレーズンは姿を消していた。レーズン無くても美味しいから諦めよう。そうしよう。

 お雑煮用に茹でた正月菜の半分を適当な大きさに切り、胡麻油と醤油でナムルにする。お出汁で大根も人参もかしわも炊いてあるから後は皆んなの餅の数を聞いて焼けばいつでもお正月の食卓は完成。

 稲荷様もカハクちゃんもソワソワしながらスウィッチをプレイしているけれども、わらしさまは通常運行。そんな様子に笑いを噛み殺して粛々と盛り付けをする。

「のり子さん手伝うことありますか?」

 おずおずと聞く大介に、冷蔵庫のなますを絞ってもりつけてくれる?とお願いする。

 干し柿のほんのりした甘さが酢の物嫌いな人たちにも受け入られる優しい味に仕上がっている。

 その間に私は、田作りや、いくらをそれぞれのお盆に配膳していく。今年はかまぼこの飾り切りに挑戦してみたけどあえなく撃沈してしまったので来年の課題にしようとおもう。

 わらしさま、こんな穏やかで賑やかなお正月を迎えさせてくれて本当にありがとう。

 私は世界一の幸せ者だよ。

 これからもずっと、一緒にわらしさまと「嬉しい」や「楽しい」を体験して行きたい。

 大介君もそんな幸せを一緒に感じてくれる人になるといいな。

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