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座敷童が小豆ご飯に飽きたと言っています。  作者: ヴぃc
番外編その1
63/93

焼き厚揚げ

拙作をお読みいただき、ブックマーク、評価、感想ありがとうございます。今回の焼き厚揚げは、野生のはいよるくまさんに教えていただいたレシピです。早速私も作って食べました。レシピありがとうございます。

 賀茂金秀と書かれた日本酒の瓶をドンと稲荷様が置いた。


「稲荷様これどうするの?」

「広島の旨い日本酒が手に入ったから、今日はここで酒盛りをする。」


 わざわざ家で酒盛りしなくてもいいんじゃないかい?


「つまみは居酒屋風で頼む。」


 あ、おつまみ目的なんですね。


「のりちゃんボクお手伝いする。」

「オレも手伝ってやる。」

「わらしさまは、厚揚げをオーブントースターで焼いてね。稲荷様は大根おろしすってね。」


 二人がそれぞれの持ち場についている間に、私はホッケをグリルに突っ込んで、冷蔵庫の常備菜を漁った。


「カハクちゃんと、チコちゃんは呼ばないの?」

「あいつら呼んだら、1本じゃ足りないからダメだ。」


 そんなにみんなうわばみなのかしら?


「後でバレて怒られたりしないかな?」

「これは、のり子に飲ませてやりたいから持ってきた酒だ。」

「のりちゃん、カハクちゃんと、チコちゃんはまた別口で呼んであげればいいよ。」


 まぁそれで納得してもらえるなら、いっか。6人分のおつまみとなると今から買い出しに行かなくちゃいけないもんね。冷凍庫から、定番のフライドポテトと、から揚げを取り出して揚げていると、わらしさまが、


「のりちゃん、どれくらい焼けばいいの?」

「厚揚げの表面がカリカリになるくらいまで焼いて欲しいから途中でひっくり返してね。」

「アイアイサー。」

「のり子、大根おろしすれたぞ。」


 相変わらず、稲荷様が大根をする速度は早い。


「ぎゅっと水気を絞っておいてね。」

「わかった。」

「大介君、ホッケ焼けたから、食卓テーブルに運んで。」

「わかりました。」


 ホッケの乗った皿を大介君に渡してひたすら揚げていく。サクサク作って後はまったりみんなでしよう。

 出来上がったお皿をどんどん大介君に運んでもらう。


「のりちゃん。厚揚げカリカリになったよ。」


 私は、焼けた厚揚げを縦に1回横に4回切れ目をつけて10個のサイコロにして、トースターのアルミトレーに戻した。


「このサイコロにさっきの大根おろしを乗せて、刻んだ分葱ものせてくれる?大根おろしはた~っぷり乗っけてね。」

「た~っぷりだね。了解。」

「稲荷様しょうがをすってお醤油と混ぜてくれるかな。」

「そんなの簡単だ。」


 稲荷様が溶いたしょうが醤油をじゅわっと回しかける。醤油の香ばしい香りが食欲を誘う。


「さぁ、みんな席に着いて。召し上がれ。」


 切子グラスに賀茂金秀を注いで、4人で乾杯をした。


 ホッケの身をほぐして、醤油と一味をかけてこちらにも大根おろしをまぶしている間に、焼き厚揚げは姿を消していた。


「のり子、カリカリでしょうが醤油と、大根おろしが絶妙だな。お替り。」

「あ~稲荷様、厚揚げもう無いから。」

「大介買ってこい。」


 すかさず大介君をぱしらせようとするわらしさま。


「大介君もお酒飲んじゃったから歩いて買いに行かせるのは流石にかわいそうでしょう。また今度作ってあげるから、ホッケで我慢して。他にもおつまみあるでしょ。」

「うわ~ん。のり子さんが優しいです。」


 えっ!?もう酔っぱらったの?そして泣き上戸?せめてお酒飲んだ時ぐらい陽気になればいいのに大介君不憫すぎる。そして、この子には勿体ないから高いお酒は飲まさないようにしよう。

 泣いている大介君をほったらかしにして、わらしさまも稲荷様も全く顔色も変わらなければ水を飲む様な勢いで日本酒をグイグイ飲んでいおつまみも争うように口に運んでいた。

 お酒飲んでも酔っぱらわないなら、お酒じゃなくても良いんじゃないの?ご飯と一緒で燃費悪すぎない?

 と思ったが、酒精をとる事に意義があるそうな。

 ふ~ん。そんなものなのか。次回、カハクちゃんとチコちゃんも呼ぶときには一体何枚の焼き厚揚げを消費するんだろうか。売り場の全部買い占めてくる勢いで足りてくれればいいんだけど。


「あ、後でわらしさま大介君を部屋に運んでね。」

「何でボクが運ばなくちゃいけないんだよ。」


 リビングで一晩中遊ぶわらしさまと稲荷様が大介君の鳴き声をBGMに出来るなら私は別に構わないんだけどね。






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