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座敷童が小豆ご飯に飽きたと言っています。  作者: ヴぃc
番外編その1
57/93

なんちゃってアリゴ

拙作をお読みいただきありがとうございます。なんとブックマークが2000件超えました。ありがとうございます。

 あー寒い寒い。北海道民にさえ寒いと言われる赤味噌県の冬の寒さは容赦がない。こんな日は、昔何かの雑誌に載ってた「アリゴ」と言うフランスの家庭料理を思い出す。エッセイの筆者も忘れてしまったけどその内容は今でも情景がアリアリと浮かぶような描写だった。吐く息が白く、鼻の頭が真っ赤になる程寒い夜道を空腹で歩いていたら、入り口をビニールで覆って寒気を防いでいるバルのようなお店で出てきたアリゴがアツアツのノビノビで美味しかったと言う内容で、それを読んだ私は、クックパッド先生でレシピを検索して作ったのが始まりで、毎年ことさら寒い日に作るメニューになっている。本場のアリゴはまだ食べた事がないので、我が家では、なんちゃってアリゴと呼んでいる。


「わらしさま~ただいま~。」

「のりちゃんおかえりっっ。今日ね、チキンの煮込み作ったんだよっっ。」

「わらしさま凄い!!今晩はアリゴにしようと思っていたの。」

「やった~。今日の寒さなら、のりちゃんがアリゴにしようって言うと思ってたんだ。」

「もしかして、稲荷様達も来る?」

「モチロン。みんな呼んであるよ。」

「あ~、じゃぁマッシュポテトの素を買ってこようかな。」

「のりちゃん、大丈夫だよ。僕ジャガイモも沢山茹でておいたよ。ねっ!僕スパダリでしょっ!?」


 いつもは、お願いして小学生低学年くらいの大きさになっているわらしさまも、自分がしっかりしている事をアピって来る時は瞬時に大人サイズになる。

 子供サイズのスキンシップは気にならなくても、大人サイズで額をピタリと合わせられるのは、赤面もので近いから離れてとお願いすると、ぷぅっとほっぺたを膨らましてわらしさまがすねる。

 わらしさまや。ビジュアルが大人になるなら中身も大人になっておくれ。アラサーのおばちゃんにはイケメンのネットリしたおもてなしは心臓に悪いぜよ。

 茹でたジャガイモをブレンダーでなめらかになるまで潰したところに、バター、牛乳、とろけるチーズを混ぜ込む。この作業は、お鍋に火をとろ火で掛けながらやりたいから、テフロン加工のお鍋推奨。

 わらしさまが作ってくれた「チキンの煮込み」は、アリゴに乗せて食べるソースなんだけど、玉ねぎ、人参、鶏肉を、水、コンソメ、ケチャップ、おたふくソース、ニンニクで煮込むと言う大雑把な料理で、以前勤めていた会社で、メキシコ出身のパートさんに教えてもらった料理だ。

 素朴な疑問なんだけど、おたふくソースってメキシコにもあるんだろうか?

 とにかく、味がしみるまで煮込むと鍋底が焦げるこの料理は、お休みの日にしか作れないんだけど、わらしさまグッジョブ!平日にアリゴの付け合わせにチキンの煮込みが付くなんてめちゃゴージャス。それなら、ついでにアボカドソースも作れるってものなんです。

 アボカドを半分に割り、皮を剥いて種とともにブレンダーで潰したものに、レモン汁、ニンニクみじん切りにした玉ねぎを混ぜる。はい。これだけなのに美味しいんだなぁ。お皿によそったら今日のおうちご飯完成です。

 最近、わらしさまが何でもかんでもやってくれるから、平日でも凝った料理が食べれて幸せ。


「わらしさま、稲荷様達呼んできて~。」

「は~い。」


 スマホを取り出すと、LINEのグループチャットに招集令をかけた。

 鳥居から現れた3人は身長チェックの柱に行って自分の身長を確認しあった。そんなに毎度毎度チェックするようなものだろうか。


「のり子、ちょっと太ったんじゃないか?」

「稲荷様、それ気づいても言っちゃいけないやつ。」

「いなりは、デリカシーがない。」

「兄様、のり子さんに失礼です。」

「のりちゃんは、太ってもかわいいよっっ。」


 あ、わらしさまも、私が太ったことに対しては反論を唱えないんだ。チクセウ。

 ダイエットは明日からにして、今日は目の前のご馳走を心置きなく堪能することにしよう。うん。そうしよう。では手を合わせて


「「「「「いただきま~す。」」」」」


 もっちもちでびよーーんと伸びるアリゴを思い思いによそって、ソースをかけて美味しくいただきましたとさ。



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