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座敷童が小豆ご飯に飽きたと言っています。  作者: ヴぃc
番外編その1
53/93

手巻き寿司

拙作を読んでいただき、ブックマーク、評価、感想ありがとうございます。最近、会話文に頼ってた感が否めないので、今回のりちゃんの独白のようになっております。

 ある日、お隣の田中さんが「のり子ちゃん、突然だけどうちの土地買う気ないかい?」と聞いてきた。本当に青天の霹靂だったが、理由を聞くと、県外に住んでいる息子さん夫妻が田中さんの高齢を心配して同居しようと言われたそうだ。知らない人が引っ越してくるのを嫌がる家もあるから売りに出す前にご近所さんに一応聞いて回ってるんだって。私は値段も聞かずに買いますと即答した。

 だって、土地が広くなればわらしさまが活動するスペースが広くなるし、カハクちゃんに頼んで桜の木を植えてもらったらお庭でお花見も出来る。いい事だらけじゃないか。

 わらしさまがアホみたいに稼いでくるお金を循環させるチャンス到来です。

 わらしさまは、のりちゃんの好きに使っていいよ。僕デキル男ですから。なぁんてすかして言うけど、所詮引きこもりの座敷童子。ちょっとくらい行動範囲を広げてあげたい。そしたらもっと、いろんな楽しい事が出来ると思う。どうせ田舎の土地だから1億もかかる事は無い。わらしさまが好きに使っていいって言ったんだから、土地を買ったって文句は言われまい。女は度胸だバッチコイ。

 田中さんは、ご近所さんだから土地の売買を不動産屋を通さなくてもいいと好意で言ってくれたけど、専門的な煩わしい手続きを自分でするのはメンドクサイ。だからプロに丸投げする事にした。家の解体料をこちら側が持つ事で、恐ろしく安く隣の土地が手に入った。これもわらしさま効果なのだろう。座敷童子なだけに幸運を運んでくれる。わらしさま、存在自体がチートだよね。

 滞りなく手続きが済み、解体業者の人が淡々と田中邸を壊していく。私は日中会社にいるから全く気にならないけど、わらしさま騒音ごめんよ。騒音でプレイしているゲームに影響が無ければいいけれど…。

 更地になった元田中家を見て、リアルタイムで戦争をして統合されていくゲームを思い出した。何であんな単純なルールに、人間の感情が加わるとややこやしかったんだろう。

 睡眠不足になりながらプレイした過去に、アレはアレで楽しんだから良かった事にしようと蓋をした。

 更地完成予定日に、静かな闘志を燃やしたカハクちゃんがやってきた。

 春にお花見ができるように桜を植えてもらう事以外は、カハクちゃんに丸投げだ。

 だって私じゃぁ、何をどうしたらいいか分からないもんね。

 カハクちゃんと、わらしさまが新しい土地をあーでもないこーでもない言ってるうちに、私は夕飯の準備に移る。

 今日は何合消費されるだろう。チコちゃんの霊力が上がったのを検証してから我が家の炊飯器は1升炊きが2つ常備されている。2升で足りるように副菜も添えよう。

 稲荷様とチコちゃんがお刺身ときゅうり、アボカド、合鴨のロースを切ってくれてる間に唐揚げ粉で下味をつける。鶏肉に味を馴染ませてる隙にひき肉を砂糖、醤油、みりん、酒で煮炒めてそぼろを作る。厚焼き卵はもちろん卵豆腐を使ったアレに今日はお砂糖も少し混ぜてある。

 お澄ましは、花麩と三つ葉、乾燥柚子をひとかけ。ポテトサラダも、稲荷様とチコちゃんが居れば連携プレイでサクサク作れる。酢飯はずるしてすし酢を使わせてもらった。これなら足りなかった時にレンチンご飯にぶっかけて対応できるもんね。仕上げにコーンとツナマヨ、納豆も抜かりなく準備したぜよ。

 広くなったお庭の中心にブルーシートとラグを敷く。2つ並べた折りたたみのローテーブルに所狭しと料理を並べた頃にはやりきった感満載の2人組がドヤ顔で席に着いた。

 カハクちゃん、わらしさまお庭の改造ありがとうね。稲荷様とチコちゃんが作ったお料理召し上がれ。

 肉食男子の二人は唐揚げに特攻をかけ、カハクちゃんは、キャラ海苔巻きを淡々と作成した。もはや職人レベルです。チコちゃんは霊力優先なのか満遍なく具材を食べれるようシャリを少なめにしてチマチマ攻略していた。

 今日の新しいお庭のお披露目の為に用意したキックボードと、ビーチサイクル、ラジコンを『チームわらし』に進呈すると、我先にと争って順番抗争が勃発した。

 人数分買ってあげれば良かったな。反省。そんな後の祭りを痛感しながら、広くなった敷地内の様子をゆっくり見て回った。

 今度の春はみんなでお花見も出来るね。それまでに『チームわらし』が喜ぶ献立をセレクトしようと思う。春が楽しみ。ね、わらしさま。


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