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座敷童が小豆ご飯に飽きたと言っています。  作者: ヴぃc
番外編その1
51/93

にょっき

拙作を読んでいただき、ブックマーク、評価、感想ありがとうございます。……ランキング入り。前回の悪夢アゲイン。すいません本当にストックがありません。コイツもったいぶりやがってなんて思わないでくださいね。わらしさまのその後エピソードも別で投下しておきます。

 今日も新しい段ボールが届いた。尋常じゃない段ボールの量に資源回収の日何往復もするのが重労働で、わらしさまには懸賞サイトに応募する事を止めるようお願いした。

 座敷童子なだけに、当選確率が良すぎる。


「のりちゃん、何が届いたの?」


 私を養う事に闘志を燃やしているわらしさまは、当選品が届くたびにドヤ顔だ。


「何かなぁ。どれどれジャガイモだって。」

「ジャガイモかぁ。普通だなぁ。」

「わらしさま、ジャガイモ美味しいじゃないの。」

「のりちゃんが作るご飯は何でも美味しいけど、ジャガイモってわき役っぽい。」

「ジャガイモが主役の料理たくさんあるよ。そうだ、今日はニョッキにしよう。」

「ニョッキ?」

「もちもちして美味しいよ。」

「僕お手伝いするっっ。」


 相変わらずわらしさまチョロイ。

 お鍋にジャガイモがかぶるくらいの水を入れ火にかけて、串が通るまで茹でる。この串が通るかの確認もわらしさまは率先してやりたがる。

 果敢にも熱さと戦い、二人でジャガイモの皮を指で剥く。皮ごと茹でるとつるんと皮が剥けるから不思議。

 適当な大きさに切ったらハンディーブレンダーでジャガイモを潰す。滑らかになったら、小麦粉、塩、粉チーズを混ぜてひと塊になったらラップをして冷蔵庫でねかせる。

 ねかせている間に『焼き師』わらしさまに玉ねぎ、マッシュルーム、ベーコンを炒めてもらう。火が通ったらホワイトソース缶と牛乳を鍋で混ぜ合わせ塩コショウで味を調える。

 寝かせたジャガイモの塊を棒状にしたものを切っていく。丸めてちょっと潰してフォークですじをつける。


「のりちゃん、変な模様だね。」

「こうするとホワイトソースが絡まりやすいんだよ。」

「そうなんだ。僕頑張って模様付けるっっ。」


 ホワイトソース。子供は大好きだよね。せっかくだから『チームわらし』のメンバーの分もコネコネする。

 お鍋になみなみと湯を沸かして塩を加え、コネコネしたニョッキを茹でる。ここまでの作業が面倒なので一人の時に乾燥ニョッキを使ったことがあった。アレはニョッキに対する冒とくだと思う。アレを最初に食べてたらニョッキなんて好きにならなかったね。わらしさまのファーストニョッキ。絶対ニョッキを好きになってくれる自信があるぜ。

 茹で上がったニョッキにホワイトソースを絡めれば今日のおうちご飯完成です。

 毎度の事だがLINEで稲荷様を呼び出したらチコちゃんもくっついてきた。


「のり子さん!!あたし、霊力がちょっと上がりました。これものり子さんのお陰です。この辺には自生していないようなのでアケビを採ってきました。どうぞお召し上がりください。」

「わぁ。チコちゃん珍しい物をありがとうね。チコちゃんも身長測っていく?」

「ぜひ。」

「チコちゃん、僕が測ってあげるよ。」


 定規とボールペンをさっと取り出して3人は柱の前に集まっていた。……稲荷様も測ってもらう気だな。こうやって柱に刻まれていく印がどんどん増えるたびに、幸せな思い出も増え続ける。

 アツアツのうちにカハクちゃんに届けてやるからと、稲荷様とチコちゃんは鳥居の中に消えていった。


 アツアツのニョッキを食べたわらしさまは、両手でほっぺを抑えて、もちもちでほっぺたが落ちそうとモダモダしていた。ファーストニョッキ大成功です。

 食後のデザートはチコちゃんが持ってきたアケビ。小説を読んでいるとたまにアケビが出てくるけど、実はこの年まで1度も食べたことがなかった。ファーストアケビ。どんな味なんだろうとドキドキして恐る恐るスプーンですくって口に入れる。ねっとりとした触感で、まったりとした甘みが口いっぱいに広がった。アケビうましっっ。グーグル先生に聞いたら、天ぷらにもできるそうだったが、てんぷらは鬼門なので断念した。……いつか美味しいアツアツの天ぷらがわらしさまに食べさせてあげられるといいな。




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