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座敷童が小豆ご飯に飽きたと言っています。  作者: ヴぃc
第3章 たくさんの幸せを見つけるゾ
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スイカのフルーツポンチ

 あれからスイカ半玉を4人で完食した。想像以上に甘いスイカは凄まじい争奪戦であった。


 お昼ご飯を食べてゴロゴロしながらみんなで武器商人2世の鉄男を見ている。ほんとはチタンだけどな。4月に科学博物館で展示してあった鉄男の原作コミックの展示を見に行った時、コミックの出版社が倒産しそうになったから、映画スタジオを作った起死回生の第一作がこの鉄男だと知った。普段は原作がある作品の実写化反対推進委員会の会長なのに、このシリーズだけは声を大にして言いたい。断然実写の方がかっこいいし、面白い。ヒーローオールスターズのシリーズもヒーローが次世代に少しずつ移行してきているが年老いても鉄男にはヒーローのセンター張っててほしい。

 エンドロールが終わったから立ち上がって本日の主役ちゃんをお披露目するために台所へ行く。

 目ざとくついてきたカハクちゃん。


「今から白玉を作るけど一緒につくる?」

「うん。」


 ドタドタと出遅れた二人もお手伝いする気満々だ。

 白玉粉とお水を少しずつ混ぜて耳たぶくらいの硬さになったら棒状にするこれをちぎって丸める。真ん中はハンバーグと同様へこませてへそを作る。粘土遊びみたいで子供には楽しい遊びだよね。……妖怪と神使だけど。

 ダイニングテーブルにサランラップを引いてそこに3人の作った白玉を置いてもらう。

 私はお湯をぐらぐら沸かす。

 今日の為に3本買っておいたフルーツくりぬきスプーンを取り出して、白玉と交代にスイカとボールをテーブルに置く。


「ちゃんとスプーン3本あるから、ゆっくり綺麗な丸になるようにこうやってくり抜いてね。競争はなしだからね。」

「「「は~い。」」」


 おなかに入ったら一緒だけど、見栄え大事だよね。

 3人とも真剣にくり抜いてるから、いつものような騒がしさはない。最初からこの手を使えばよかった。

 私も黙々と白玉を茹でていく。ぷわんと浮き上がってからもう暫く待って氷水へ移す。もっちりツヤツヤな白玉団子がどっさりできた。


「のりちゃん。全部くり抜けたよ~。」

「今行くね。」

「「「は~い。」」」


 フルーツ缶詰をざるに開けて、シロップと分けた私は、フルーツと白玉をもってリビングに行った。


「スイカと白玉とフルーツをバランスよくスイカの皮の中に盛り付けてね。」

「私が監督する。」


 カハクちゃんに任せておけば美しく仕上がるな。テーブルの椅子に乗り上げて作業を始めるカハクちゃんと稲荷様。うん。椅子に乗り上げなくてもスイカの底が見えるわらしさま随分大きくなった。毎日見てるとそんなに違和感なかったけど、比較対象が居ると差が歴然としている。

 私は缶詰のシロップとサイダーを混ぜてリビングに戻った。


「綺麗に盛り付けれた?」

「「「うん。」」」

「あっ。ミント忘れてた。」

「オレがちぎってくる。」

「ボクもちぎってくる。」


 そこは競争になるのか。


「じゃぁカハクちゃんはこのシュワシュワをスイカに注いでね。」

「わかった。」


 綺麗に鎮座していたスイカと白玉、フルーツ達がゆらゆらと浮き上がってきた。


「取ってきたぞ。」

「のりちゃん。持ってきたよ。」

「水で洗ったらスイカに乗せてね。」


 ガラスの器とカトラリーを並べながら答えた。洗ってきたミントを二人が飾ろうとすると、カハクちゃんに取り上げられてた。カハクちゃんのこだわりは職人並みだな。

 では手を合わせて


「「「「いただきま~す」」」」


 お玉でそれぞれによそってあげたガラスの器を持ち上げて底を覗くわらしさま。1番に白玉にかぶりつく稲荷様。黙々と食べ進むかはくちゃん。


「そう言えばカハクちゃんフルーツポンチ撮影しなくて良かったの?」

「ミント飾った後ソッコー撮影した。」


 さっとポケットから出したスマホを掲げている。いつでもどこでもすぐ撮影できる準備ができてたのね。

 シュワシュワを堪能しきった後もう帰ると2人は言った。夕飯は食べていかないらしい。いろいろと用事もあるのだろう。


「いなりもかはくちゃんも絶対に25日はうちに来てよ。」

「その前にも来るし。」

「そうだなのり子のご飯食べて身長伸ばさないとだからな。」

「他の日も来てもいいけど絶対に25日来てよ。」


 何か特別なゲームのイベントでもあるのだろうか。

 しつこいなぁとぼやきながら25日にうちへ来る事を了承した2人はくるりと背中を向けて帰っていった。

 1日遅れだけど私とわらしさまの夏が終わった。秋はどんな思い出を作ろうかな?








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