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座敷童が小豆ご飯に飽きたと言っています。  作者: ヴぃc
第2章 仕事も私生活も楽しむゾ
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ポテトサラダ

 昨日作ったピクルスで本日はポテトサラダなのです。ポテトサラダは副菜のくせに手間がかかる。なので、主菜はお肉焼くだけにしちゃう。一汁三菜なんて働いていたら無理。手が抜けるところは抜いていかないと365日やってられない。


「わらしさまこのジャガイモつぶしてくれる?中くらいの塊になればいいからね。」

「アイアイサー。」


 見た目子供のわらしさまは意外と力持ちだ。なんてったって妖怪だもんね。そんなわらしさまの隣でひたすらピクルスをみじん切りにする。ゆで卵もフォークでつぶしてピクルスと共にわらしさまのボールに入れる。塩、胡椒、レモン汁で和えたら大人のポテトサラダ完成。


 手を合わせて


「「いただきます。」」


 マヨネーズで和えたポテサラも好きだけど、これだけ暑くなってくると、酸味が恋しくなる。そんな時のピクルス入りのポテトサラダ。多めに作って数日副菜にするのだ。手間がかかるメニューは多めに作ってストックが鉄板だよね。


「のりちゃん、お庭のバジルがわさーーーってなってきたよ。」

「それは、収穫しなくちゃだね。」

「僕明日収穫してもいい?」

「お願いします。」

「まかせてっ。」


 引きこもりのわらしさまは、このくそ暑いのに縁側でゲームするのがMyブームになっている。なんでも自分がお世話した庭を背景にゲームする方が部屋でゲームするよりもハイスコアが出せるらしい。お給料出たらハンモックかテントでも買ってあげようか。

 

 収穫したバジルで何を作ろうかな。

 雑草ぼうぼうの荒れ放題だったお庭が、わらしさまとカハクちゃんのお蔭で景観を楽しむだけではなく、収穫も楽しめるお庭に変貌をとげている。あの時に感じた虚無感と諦めは二人のお蔭できれいさっぱり払拭された。来年はプチトマトやゴウヤなんかも植えたらわらしさまが喜ぶかもしれないな。なんて鬼が笑う来年の計画を心のメモに書き記した。


「最近はゲームのイベント無いの?」

「あるけど、いなりが違うゲームに嵌っててそっちばっかりプレイさせられてる。かはくちゃんもノリノリなんだよ。」

「どんなゲーム?」

「無人島で100人が殺しあうゲームだよ。」

「殺伐としてるね。」

「僕らは正々堂々と戦っているんだけど、小学生の集団がえげつないんだ。」


 ぷんすかと小学生の集団のえげつない行為を訴えるわらしさま。なぜそいつらが小学生と解るのか追及するのはやめておく。IPアドレスとか特定して住所割り出せちゃう職人さんなのかもしれない。そしてそんな殺伐としたゲームにカハクちゃんもノリノリというのがとても意外であった。

 わらしさまが引きこもりなのは承知しているけど、わらしさまと同じ時間ゲームをプレイしているいなりさまとかはくちゃんは一体どんな生活を送っているのか心配にもなったのはナイショだ。


「のりちゃん。このお肉にポテトサラダ巻いて食べると美味しいよ。」

「おお。肉食男子は新しい食べ方を考案したね。どれどれ。」


 わらしさまの真似をしてお肉でポテサラを包んで味見する。


「美味しいね。これ明日のお弁当に入れようか?」

「わ~い。明日のお昼も楽しみ。」


 チーズのっけてチンしようと思っていたけれど、お肉で巻いたら副菜が立派な主菜になりそうです。

 1人よりも2人の方がもっと美味しいものが思いついて行く。これからいくつもの新しいレシピが生まれていくのかもしれない。

 肉を巻いたポテサラを撮影してタイムラインに投稿するわらしさま。そのうちクックパッドでレシピエールになってたりして。


 そんなほのぼのタイムに不吉な着信音。画面には勝の名前。通話ボタンを押すのを一瞬ためらったが、後から何の話だったか気にするよりはましかと、通話ボタンを押した。


「はい。渡辺です。」

「何?その他人行儀。」

「あなたと私は他人でしょうが。」

「俺たちは憎しみ合って別れたわけじゃないだろ?」

「憎みあうどころか、話し合いもなく電話で一方的に振った元カノに今さらなんの御用ですか?」

「そうとげとげするなよ。明日そっちに出張で行くから晩飯食べに行かないか?」








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