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プロローグ―涙の泉

 ぱたぱた、ぱたぱたと、落ちた(しずく)が土に染み込む様子を見つめていた。

 夕暮れどき、滲んだ視界は(だいだい)色の世界をぼんやりととらえていた。


 あのとき話しかけてきたのは誰だったっけ? ああ、そうそう。太陽のように笑うあの人。あの人がおかしなことを尋ねてきた。


――ねぇ、涙ってどこから来るか知ってる?


 知らない、と答えると、得意げな声が返ってきた。


――目の底にはね、泉があるんだ。泉にはきれいな魚がたくさん泳いでる。魚たちが群れになって泳ぐと、水面が波打つ。魚の群れがどんどん大きくなって、波もどんどん大きくなって、そうしたら目から泉の水がこぼれてくるんだよ。だからね、大丈夫。魚が元気に泳いでるだけなんだ。悲しいことなんて、どこにもないよ。


 このおかしな話は、全然慰めにはならなかったけれど、今でも涙がこぼれそうになったときは目を閉じて考える。


 キラキラと輝く銀色の鱗。魚たちを抱く温かい水は途方もなく自由で、自在に形を変える。

 目の底で感じる心地よい波。その脈動。小さな鼓動。


 すうっと、泉の水がこぼれるのを感じる。すると心はすぐに、晴れやかになる。

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