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RDW+RTA ~リアルダンジョンズワールド プラス リアルタイムアタック~  作者: 相生蒼尉
第3章 前編 『RDW+RTA +SDTG(T―SIM) ~鈴木の育てゲー(育成シミュレーション)~』

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2 鳳凰暦2020年4月20日 月曜日朝 小鬼ダンジョン 隠し部屋


 今は、ボスのリポップ待ちの時間です。最近は、朝の短時間でも、ここで2回以上、ボスを倒せるくらいにはなりました。それだけ時間短縮ができています。


 わたし――岡山広子は、スモールバックラーシールドを構えて部屋の角に立ち、その対角線上の向かい側の角から鈴木さんがショートボウを引いてしゅっと矢を放ちます。とん、という音がして盾に軽い衝撃がきます。


「それで、4組の高千穂さんが、わたしと、鈴木さんも一緒に……」

 しゅっ、とん。

「話がしたいって、昨日の夜に、言われたのです。鈴木さんは……」

 しゅっ、とん。

「お話をする、お時間はありますか?」

 しゅっ、とん。


 ……鈴木さんは、リポップまでの短時間でも、こういう訓練や勉強を組み込んでくれます。これは3層のゴブリンアーチャーへの対応訓練です。もちろん、鏃にはクッションゴムが付けられて、刺さるようなことはありません。安全面の配慮も完璧です。

 ただ、会話がやや、途切れてしまうのは、気になるところです。

 今朝は、ここのボスを倒した後の3層のボス部屋までの通路で、わたしはモンスターとの1対3を訓練メニューとして組み込まれていますので、そのためでもあります。3層にはゴブリンアーチャーが出ますから。鈴木さんのこういう厳しさはわたしへの愛情に違いないので、わたしは全て受け入れます。


「今日の昼は、昼ダンじゃなくて……」

 しゅっ、とん。

「ギルドでこれまでの分の換金をして……」

 しゅっ、とん。

「とりあえず、広島さんが……」

「岡山です」

 しゅっ、とん。

「……もう大丈夫って安心できるようにする……」

 しゅっ、とん。

「つもりだから、その時なら大丈夫……」

 しゅっ、とん。

「かな?」

「では、お昼に」

 しゅっ、とん。

「ギルドで待ち合わせを……」

 しゅっ、とん。

「お願いしておきますね」

 しゅっ、とん。


 ……もう少し、違ったタイミングで言われたい言葉ではあります。でも、こんな状況でも、鈴木さんの優しさに、心はぽかぽかになります。

 本当に鈴木さんに会えてよかったです。


 でも、そういう『ドキ☆ラブ』のようなムードになる場面がありそうでひとつもないのは、どうしてなのでしょう? わたしたち、男女二人きりでのペアですよ?


 それよりも何よりも今朝はどうしても聞いておかなければならないことがあります。いつもは一人で入っている朝イチのダンジョンから、今朝、鈴木さんは女子生徒と一緒に出てきました。あれはいったい誰なのでしょうか。ここのことをご存知の方なのでしょうか。


「……ところで、鈴木さん」

 しゅっ、とん。

「今朝の、彼女は……」

 しゅっ、とん。

「どなたですか?」

 しゅっ、とん。

「ん? 誰?」

 しゅっ、とん。

「あ、矢、終わり。で、え? 誰? 今朝の彼女?」


 鈴木さんは、わたしの方へと近づき、落ちている矢を拾い始めます。


「あの? 今朝、一緒に小鬼ダンから出てきた人、のこと、ですが?」

「……あ、岡山さん、知らない人だっけ?」

「はい」

「あの人は、平坂さん」

「平坂さん……」


 わたしも一緒に落ちている矢を拾います。


「……ええと、どちらの、平坂さんでしょう? 鈴木さんとのご関係は?」


 とても……本当に神話から飛び出たかのような、とても、日本的な美少女でした。まるで戦女神のような。


「クラスメイトで、小学校の……同級生?」

「どうして疑問形に……」

「いや、2回しか、一緒のクラスになったことないから。あ、今、3回目か……」

「この高校で同じ小学校というのは、とても珍しいのでは?」

「そうかな? そうかも。あ、鳴ったか」


 宝箱の上のキッチンタイマーが鳴りました。そろそろリポップです。


「さ、準備」

「はい!」


 とりあえず、まずはボス戦からです!







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― 新着の感想 ―
[一言] めっちゃ強くなってるw もう学年2位は揺るがないなあ
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