32 鳳凰暦2020年4月15日 水曜日放課後 小鬼ダンジョン
いつものようにゴブリンを5匹分、奥へと進み、休憩をはさんで、出口へと戻る。帰りに3匹倒したあとで、私――浦上姫乃は男子4人組のパーティーと出会った。
「お、代表じゃん。何、一人なん?」
「ソロってヤツか。すげーな」
「いや、おれらも、4人で行動してるだけで、実際はソロみたいなもんだろ? 一人で戦うし、自分が戦った分の魔石は自分の物だし」
「そーいやそーか」
同じクラスの推薦入学の男子4人組で、確か、上島、奥田、野島、那須、だったか。
「そっちは何匹、倒してる?」
「私? 今日は8匹かな?」
「おお、やるじゃねーか、代表。おれも8匹の日はあったけど、1回だけだな。あの日はラッキーだった」
……運任せか? あまり話す価値もないか。
「4人なら大丈夫だと思うが、気をつけて」
私はそう言って、通り過ぎる。
「おー、サンキュ。そっちも頑張れよー」
態度はでかいが、別に悪人とかではないらしい。魔石を取り上げようとか、そういう感じではなかった。
もう出口も近い。今日は9匹目がいなかった……いや、あの4人組が先に倒したのか?
……これは、人が少ないルートの研究も視野に入れた方がいいのかもしれない。それと、上島、だったと思うが、8匹だったのは1日だけだと言っていた。それが本当なら、今の段階なら、私の方が魔石の総数は多いはずだ。
いろいろとクラスや学年が騒がしいが、できればダンジョンに集中したい。私は心からそう願ったのだった。




