28 鳳凰暦2020年4月14日 火曜日放課後 小鬼ダンジョン
火曜日の放課後は、同じく2層への最短ルートで、その3往復だったけど、最後の帰りは「帰りの戦闘は全部設楽さんが担当で、他の班の人たちも一緒に帰って。今日の配分は、それぞれの班の余りを私たちに分けてくれればいいよ。あ、帰り設楽さんが倒した分は全部平坂班の物ってことで話はついてるし、そこは遠慮しないで」とのことで、平坂さん以外の附中ダン科出身、外村さん、飯干くん、宍道くんが、平坂さんと4人でそのまま2層以降へとアタックを続け、あたし――設楽真鈴を含めて、新人軍団はまるで初ダンの時のような人数で出口を目指した。
あたしたち平坂班と、外村班の人たちは、「大変だったよー」とか、「かなりきつかった」とか、具体性のないふわっとした話ばかりで、情報を漏らさなかったけど、飯干班と宍道班の人たちは、どんなやり方だったか、けっこー語っていた。
雪村さん、田丸さんと、なんだか目だけで通じ合えた。心の声は「平坂さん厳しーっ!」だ。
飯干班と宍道班は、ゴブリン一人10匹で進んで、帰りは飯干くん、宍道くんが担当するというやり方だったらしい。それでも毎回、魔石の合計が50個以上はあるらしいので、推薦男子よりも手に入れた魔石は多いはず。そのやり方も納得だ。
3人で30まで倒して進むだけ進んで、それと同じだけ戻れば附中ダン科の飯干くんや宍道くんが一人で30ぐらいは倒すから、魔石は60個近くにはなる。
たぶん、1組に入れるメンバーのスポーツテスト的な部分は、絶対に平均よりも高いから、10は確実にスタミナ切れにならずに倒せる、という考え方なんだと思った。
外村班の情報は入らなかったけど、たぶん、あたしたち平坂班と似たような感じではないかなーと思った。「大変だったよー」と口にした時の顔がすんごくマジだったし。たぶん、あの感じだとスタミナ切れ、経験してるはず。うん、あれはきっと仲間だなー。
この日の魔石はあたし56、雪村さん25、田丸さん28、平坂さん13で合計122個、3で割って一人40個と、平坂さんに2個。
雪村さんが「平坂さんに悪くない?」と言うと、「リーダーの指示だし」と田丸さんが返す。でも、田丸さんも気持ちは雪村さんと同じみたい。最初とずいぶん変わったと思う。「そういえば、今月の寮費と生徒会費、もう貯まったんじゃない?」とあたしが聞くと、そうだった、みたいな感じで二人は目を見開いた。それから昼食のレベルを上げるかどうかで二人は激論を交わしてた。学食って戦争なのかな?
平坂さんのダンジョン終わりを待って、あたしは平坂さんと帰った。その時に、平坂さんが外村さんたちと今日行ってきた2層や3層の話を聞かせてもらった。ホント、平坂さんと出会えて、あたしって幸運だと思うな。




