27 鳳凰暦2020年4月14日 火曜日放課後 小鬼ダンジョン
ダンジョンで5匹のゴブリンを倒して、私――浦上姫乃は休憩に入った。
今朝は、1時間目に騒ぎがあって、その原因が鈴木だった。その鈴木本人は、気持ちいいくらい、平然と本を読んでいたが。
寮でも食事中によく話す外村に聞いたら、放課後の呼び出しはダンジョンで稼ぐだけのお金を払え、というような内容だったらしい。
まさか、先生からの呼び出しに対して、金銭を要求して拒否するなんて、私には考えられないことだった。普通は先生に呼び出されたら従うものだと思う。
しかもそれを黒板に貼り付けるとか……。
あれが首席。私の想像の範囲外の人間なのだろうと思う。
今日も帰りに4匹のゴブリンを倒し、魔石は9個。ただし、最後のゴブリンは攻撃回数が4回だった。私の腕の未熟さもあるとは思うが、ショートソードの手入れについても、私が未熟だという可能性もある。
ギルドで魔石を換金する時に受付の人に相談したら、一度返却して新しいショートソードをレンタルすればいいとのことだったので、そうさせてもらった。
握った感じ、気のせいかもしれないが、さっきまで使っていたショートソードと少しだけ感覚が違うような気がした。
訓練場へ行き、素振りを繰り返して、今日までやってきたことが新しいショートソードでもできるように、努力を重ねる。それが、ソロ、という一人で挑戦していることからくる不安に負けないように、不安を塗り潰すようにしているだけだということは、私自身、薄々感じていた。




