26 鳳凰暦2020年4月16日 木曜日 1時間目 第一教育相談室
全校生徒からの聞き取りは1時間目から始まった。授業ではなくプリント自習で、副担任の先生が教壇のところで監視――言い方は悪いけど、しゃべらないように指示が出ているから、監視で――している。全員終わるまで本当に授業はしないらしい。
僕は机のポジションのせいか1番だった。それで、教育相談室へ行った。
先生と二人きり。ついに呼び出しに応じてしまった。
「アンケートに関してだが、とにかく知らないってことでいいか」
「はい」
「これ、おまえのことが噂になってたんだが……」
「は? 彼女いない歴イコール年齢ですけど?」
「そ、そうか……頑張れ……」
「何を?」
「……噂してた連中からの謝罪は必要か? 噂っていうか、中傷なんだが」
「どうでもいいです。そんな連中に時間を使いたくないし」
「わかった。こっちで指導しておくから納得してくれ」
「はい」
「それとな、例の話、おまえの要望のほとんどは認められる方向で話が決まりそうだ」
「ホントですか!」
「乗り出すな、うっとうしい。だが、明日の放課後、実際にやってくれとよ。魔石30個」
「……なるほど、実演か、うーん」
……見せろ、と言われているようなものだけど。でもなぁ。
「明日の放課後の、小鬼ダンの封鎖。僕と岡山さんだけでの入場。マジックポーチの中身は事前に確認して不正ができないようにして下さって結構です。その確認の時間でアタックタイムを削られては意味がないので、帰りのHRを抜けて、小鬼ダン前で確認してほしいです。えーと、後は、事後確認で時間が過ぎても、明日は岡山さんの門限破りを罪に問わないこと……他には、あるかな? 今、思いつくのはとりあえずそれくらいですかね?」
「同行は?」
「当然拒否します」
「秘密保持の魔法契約付きでもか?」
「でも、拒否です」
「……放課後までに確認する」
「了解です」
「行ってよし……」
「失礼しましたー」
僕は意気揚々と教育相談室を後にした。こういう呼び出しなら歓迎かもな。




