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37.終局

ブックマークが50を突破しました!


既に最後までプロットは書き終えているのでこのままお付き合い願えたらと思います。


本当にありがとうございます(^∇^)


俺はレオンの言葉を理解出来ずにいた。


「《堕ちた神》以上の存在だと? どういうことだ。」


レオンはふっと笑う。


「《堕ちた神》をまとめ上げているのは僕ってこと。大罪の感情を集めているのもね。この世界でもうまく“憤怒の感情”を集められた。」


「まとめ上げる? まさか、お前は人間じゃ無いのか?」


漫画の設定とかでよくある神の上の神的なやつなのか?


「違うよ。僕はただの人間だよ。転生者ではあるけどね。」


レオンは大したことでも無いといった風に話を続ける。


「三回前の人生は織田信長って名前でね、君の提案した作戦、似たようなのやったこともあって懐かしかったよ。」


おそらく桶狭間の戦いの事をいっているのだろう。


「三回前か、何度も転生してるようだな。レオン、お前の目的は何だ? これだけの人間に迷惑をかけて、《堕ちた神》まで巻き込んで何がしたいんだ?」


俺は問い詰める。ここまで大掛かりなことまでして何を企む。


「いやー、簡単だよ。新しい世界を作ろうと思ってね。」


「新しい世界?」


「ああ、僕は今が八度目の人生だ。七回別々の世界で転生してるんだよ。そのどの世界も理想的には程遠かった。だから僕が一から作る。」


「はっ、ガキの発想だな。思い通りにならない事くらいどの世界にもあるに決まってんだろ。」


「君の考え方は大人だね。そして……ひどく窮屈だ。空を飛べないからこそ空に憧れるように、どの世界も思い通りにならないからこそ、理想郷(ユートピア)を望むんじゃないか。」


一瞬、レオンはどこか悲しそうな顔をしたような気がした。


「とにかく、この世界で僕の邪魔を出来なかった以上、君たちの負けだ。ご愁傷さ……」




「お前は二つ勘違いをしている。」


俺はレオンの言葉を遮る。


「まず、別に俺はお前の邪魔をしたいとか特に思ってない。この世界に来たのもジーさんに半強制的に連れてこられたからだ。」


この世界に限って言えば、別に望んで来た訳じゃない。


「そして、俺たちはまだ負けてない。お前の野望を叶えるためには大罪の感情一つじゃまだ足りないんだろ? 」


レオンは筒香を使って、俺たちの世界で実験をしていた。


どんな感情がエネルギーに変換できるのかを、筒香を魔法の力で助けることによって。


そして、どう考えでも筒香の事件で憤怒の感情が生まれるとは考えにくい。あの実験では筒香が抱く“傲慢”、もしくは筒香以外の作家が筒香に対して抱く“嫉妬”この二つしか調べる事は出来ないはずなのだ。


もし一種類の感情だけでエネルギーが足りるならこの世界で憤怒の感情を集めてそれで終わりでいいのだ。


わざわざ他の感情まで実験する意味がない。


「まだ、新しく世界を作るエネルギーは足りてない。違うか?」


レオンは驚いたような顔をする。


「よくわかったね。そうだよ、大罪の感情は四つ必要なんだ。」


「だったら、他の世界でもこんな風に騒動を起こす予定なんだろ? その全てを阻止すれば、俺たちの勝ちだ。」


「君、今、別に僕の邪魔をしたいわけではないっていってなかったけ。」


「言ったな。でもそれはお前の話を聞く前の事だ。今は違う。」


「ははっ、僕に騙されたと知って怒ったのかい?」


何を言っている。俺が異世界に乗り込む動機と言ったら一つしかないだろう。



「お前が異世界チート野郎だからだよ!」


俺は中指を突き立てた。



……ここでレオンを殴り飛ばせたら漫画の主人公っぽくてかっこいいんだけどな。


文系の俺の場合、殴った衝撃で手を怪我しかねない。


だから妥協して中指なのだ。



「面白いね。ここで僕をぶん殴るくらいできればかっこいいんだけどね。」


レオンは笑い飛ばす。


自覚してても他人に言われると腹立つな。


レオンは話を続ける。


「でも、やっぱり僕の勝ちだよ。僕はすでに三つ、大罪の感情を集めている。今はまさに王手をかけた状態なんだよ。」


「王手だからって詰みってわけでもないだろ? お前にこれ以上感情を集めさせなければいいんだから。」


思ったよりも事態は良くない。だが、まだ終わりってわけでもな……


「終わりだよ。今、別々の四つの世界に同時に僕の部下の、《堕ちた神》を向かわせている。」


「なんだと⁈」


「君たちが頑張ったところで、せいぜい一つか二つの世界を救うくらいしか出来いだろう。」


レオンは邪悪な笑みを浮かべる。


「終局だよ。」


言い放つ。


ならば……


「だったら今、ここでお前を倒せばいーじゃねーか。」


「できるの? 僕は魔法も使えるんだよ?」


「俺じゃ無理かもな、でも魔王ならどうだ?」



突如、レオンの真後ろにパインが現れる。



「ブレイクスペル‼︎」



実は、俺はスマホを松田と通話中にしておいたのだ。全ての会話の内容はみんなにも伝わっている。


パインは会話の空気を読んで出てきてくれたのだ。


パインの一撃はレオンを捉える。レオンは馬車の上から吹っ飛ばされ地面に叩きつけられる。


しかし……


「不意打ちとはなかなかやるね。でも、僕を倒すには至らなかったみたいだ。」


服が破れた以外は特にダメージはなさそうだ。


パインは馬車の上から地面のレオンを見下ろし、よ


「魔王ザザール・パインの名において、貴様を処刑する。覚悟はしなくていい、ただ後悔せよ。」


冷たく言い放つ。


「ははっ、こんな可愛い女の子が魔王か、ザザールって事は君は竜王とかのいる世界出身なのかな? 二度目の転生でその世界にいたよ。」


レオンは余裕の表情を崩さない。


「さて、時間稼ぎはこのくらいでいいかな。ヒット、ゲートを開く準備はできたか?」


ヒットだと?


「まさか‼︎」


俺は先程まで、縛られ、レオンに刀を突きつけられていたヒット・ラーンプのいた場所を見る。


そこには誰もいなかった。


代わりにゲートが開いていた。


「ヒットさんは、いや、ヒットもお前の仲間なのか⁈」


「ああ、彼は《堕ちた神》だよ。堕ちただけあってゲートを開くのにも時間がかかるんだ。」


どうやら俺たちはまだ騙されていたようだ。確かに、松田たちがパレードの説得をしたとき、すんなり上手く行き過ぎな気はしたがまさかヒット・ラーンプとレオンが繋がっていたなんてな。


「ワープスペル。」


レオンが魔法を唱え、ゲートの前までワープする。


「じゃあね、山崎君に魔王ザザール・パイン。君たちを殺したらジジイがうるさそうだしやめとくよ。」


レオンはゲートの近くにいた俺の肩に手を置き、耳元で囁く。



「でも、次も邪魔するようなら殺すから。」



再び邪悪な笑みをうかべ、そのままゲートの中に消えて言った。











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