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21.レベルアップは計画的に

ポケドラの世界に来て二日目。


今日は新しいポケドラを捕まえに行く予定だ。


「先輩、今日はどんなドラゴン捕まえるつもりですか?」


「今日捕まえる予定のドラゴンは“空を飛ぶ” と‘‘波に乗る’‘が使えるドラゴンだ。狩りに行くぞ。」


「ああ、なるほど、移動用ですね。でもそれなら‘‘ロッククライミング’’とか‘‘草刈り’'が使える奴も必要じゃ無いですか?」


「そう言えばそんなのもいたな。そうだな、そいつらも捕まえるぞ。」


俺達はこの世界のどこかにいるファングを探さなければならない。ならば移動が便利なドラゴンは必須だろう。


「山崎、松田。お主達は何の話をしておるんじゃ?」


パインは何のことだかわからないようだ。当然といえば当然のことだろう。

俺はポケドラ初心者のパインにドラゴンの中には“技USB”と言うアイテムで便利な移動技を覚える奴がいると教える。


「なるほどな。では手分けした方が良いのではないか? その技USBとやらを集める者、ドラゴンを狩る者で別れた方が効率的だぞ?」


「そうしたいのは山々なんだがシステム上出来ないんだよなぁ。」


ポケドラでは技USBは一人一つ、ゲットするには使用する本人が直々にゲットするためのクエストをこなさなければならない。


「そう言うわけで、技USBは明日みんなで取りに行こう。今日はドラゴン狩りに専念だ。」


俺たちはマッサラタウンの近くの草むらを歩く。


最近の育成ゲームでは初期のモンスターは育てても後半では使えない事が多い。しかしポケドラは違う。

ちゃんと育てさえすれば最後まで充分戦える。こういった絶妙なゲームバランスもこのゲームの魅力と言えるだろう。


しばらく歩くと聞き慣れた、懐かしい音がしてーーーー


テレレンテレレンテレレンテレレン!


▶︎あっ! やせいのデオキシスコンがとびだしてきた!


ってあれ? いきなり伝説のドラゴンじゃねーか!


デオキシスコンとは全ての街にランダムで一度だけ現れるユニークドラゴンだ。

最初から出会えるなんてかなり運がいいんじゃないか?


俺はドラゴンを出す。

フシギダナは進化してフシギ発見になっている。


「ゆけ! フシギ発見!」


デオキシスコンとフシギ発見が向かい合う。俺の視界に選択肢がーーー


たたかう ◀︎ バック

ポケドラ にげる


もちろん、たたかう、だ。


「フシギ発見! タネショットガン!」


▶︎フシギ発見はタネショットガンを打った


▶︎効果は抜群だ。


▶︎相手のデオキシスコンは倒れた。


俺の目の前に戦闘のログが流れる。


「なんで一撃で死ぬんだよ!」


俺は思わず叫ぶ。

ポケドラはドラゴンを倒してしまうとゲット出来ないのだ。

どうやら俺達はドラゴンを強化し過ぎたようだ。

考えてみれば最初の街に出るドラゴンがレベル99の攻撃に耐えられる訳がない。


「先輩……。全然ゲット出来ません。」


「全部のドラゴンが一撃で倒れてしまうぞ。」


「すまん、完全に俺の誤算だ……。」


俺達この後一時間くらい野生のドラゴンと戦い続けた。奇跡的に体力が残ったドラゴンをパインがゲットした時、伝説のドラゴンをゲットした時より達成感があったのは言うまでもない。


その後はパインが捕まえたドラゴンをレベルアップの飴を使って程々に強くして狩りを続行。なんとか条件を満たすドラゴンを三人分ゲット出来た。


レベルアップの飴は昨日で3000個程回収したのでまだまだ余っている。

早速ゲットしたドラゴンのレベルを上げる。まだゲットすべきドラゴンは残っているので各自一体はドラゴンのレベルを程々にしておく。


戦う為にレベルを上げない日が来るなんで思っても見なかったな……。


転生無双モノの主人公って実は一番苦労するんじゃないか? 半殺しに調節出来るならいいけど出来ないなら不便でしょうがない。


とにかく三人合わせて15体。 技USBで移動技を覚えるドラゴンを捕まえた。


この日はこれで終わる。


街の宿に戻りゆっくりと休む……といきたいが、実はポケドラには宿で寝るシステムがない。

そのため俺達はポケドラセンターのソファなどで寝る。


ポケドラセンターのソファで眠りにつこうとする前に、パインが俺に話しかけてきた。


「山崎、今日はなんで5体しかドラゴンを捕まえたなかったのじゃ? まだ一体ゲットできたじゃろうに。」


パインには俺の指示が理解出来なかったようだ。


「いいか、パイン。俺たちの目的はファングを倒すことだ。でも困った事にそいつがどこにいるかわからないだろ?」


「まあ、そうじゃな。もしかして……場所を見つけられるドラゴンがいるとかそう言う事なのか?」


「察しがいいな。その通り、このゲームにはサテライトンって言うドラゴンがいる。そいつは特定の人物を探すことが出来るんだ。」


ゲームではNPCを探す為のドラゴンだったが、おそらくこの世界なら他のプレイヤーも探知できるのではないかと俺は思っていた。


「でもそいつはここから離れた街でしかゲット出来ないからな。そこに行く為にも明日は技USBを取るぞ。」


「わかった。なら儂はもう休むかの。おやすみじゃ、山崎。」


「おやすみ。」


パインは隣のソファで横になる。


松田はとっくに寝てるようだ。うっすら寝息が聞こえる。


俺もしっかりレポートを書いてセーブ、そして寝た。



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