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16.解体開始

「いやー、胸を打たれる素晴らしい戦いでしたね!ザンザレスさん。」


「ええ、これに解説は不要でしょう。タイガー選手のしぶとさには本当に驚かされました。」


いつもは饒舌な解説も今回ばかりは静かだった。


「えー、では今日最後の試合となります4回戦の選手入場です。赤コーナーー、白い長髪のイケメンフェイス、ノヴァーーー! 青コーナー、勇者最強を自称するドラゴン化の使い手、タケル・サトウーーー!」


タケルと人型になったノヴァが舞台に登る。


「ウォァォォォァォォォァォォォォ!」


シュラン、パイン、タイガーの試合で盛り上がっていた観客のテンションがさらに上がる。


嵐のような騒がしさだったがこの二人の戦いの前ではそよ風のようなものだろう。前魔王が倒されたことで間違いなくこの世界の頂点に立ったであろう竜王ドラグニール・ノヴァ、勇者の中で最強のタケルどちらが勝ってもおかしくない。


俺と松田も食い入るように舞台を見つめる。


「では、試合開始ーーーーーー!」


「ではいきますよ! ドラゴン化!」


タケルがそう叫ぶと全身に鱗、手と足も鉤爪に変化し、角と尻尾と翼が生える。


ーどっからでもかかってこいー


ノヴァは動かない。


タケルが仕掛ける。


とんでもないスピードでノヴァに接近ーーーー


「ドラゴンクロー!」


魔法で強化してある筈の舞台に亀裂が入る。

しかし、ノヴァはあっさり避けておりすぐに反撃に出る。


ー本物を見せてやる。ドラゴンクロー!ー


ノヴァはタケルと同じ技を使うが威力は段違いだ。攻撃範囲も広くタケルは完璧に避けられない。


「くそッ、まさかあんたもドラゴン化の使い手なのか⁈」


ー違う、本物だ。ー


「本物⁈ それにその威力、もしかして……」


ーお主の想像通りだ、さっさと剣を抜け、我の歯で打った剣をな。ー


「まいったな、まさか君とはね。手を抜いてちゃ勝てないか。」


タケルは腰にぶら下げた剣を抜く。


「じゃあ仕切り直しといこうか!ドラゴニックスラッシュ!」


ードラゴンクロー!ー


二人の放った攻撃はぶつかり合い相殺される。攻防は終わらない。


何度も何度もぶつかり合う剣と爪。

ぶつかるたびに闘技場全体が震える。


戦いはヒートアップし空中へーー


「錦流、七閃!」


ーエクスプロードスペルー


一振りで七つの斬撃とノヴァ掌から出た光線がぶつかり合い爆発する。


「てか松田! タケルって剣術凄くね⁈」


「そりゃそうですよ!タケルは勇者の中で唯一前世で武道をやってましたから。彼の剣術の腕は相当ですよ。」


予想外に強いタケルに驚く。


そんな事はつゆ知らず、上空の戦いは激化する。


「錦流、虎切り!」


ーシールドスペル、リフレクトスペルー


タケルの攻撃は跳ね返される、がーー


「かかったな、錦流、食廻斬!」


タケルは跳ね返った攻撃を吸収、倍の威力で斬りかかる。


ー面白い、しかし速さが足りぬ。クイックスペルー


高速移動でノヴァは避ける。


お互いなかなか決定打がないのか?

そう思ったがどうやらそうでは無いようだ。


二人共笑っている。


「僕もかなり強くなったと思ってたけど君はそれ以上かもね。どうだろうか、次で終わらせないか?」


ー望むところだー


距離を取る二人。


お互いに力を溜め、そしてーーー



「ドラゴンブレス改、錦流、咆哮斬!」


「竜王の咆哮!」


タケルのドラゴンブレスを乗せた斬撃と龍王のみが使える最強のドラゴンブレスがぶつかり合う。


上空のには太陽に次ぐ閃光。

余波だけでも闘技場に貼ってあった結界が吹き飛ぶ。


しばらくして振動が収まる。


上空を見上げるとタケルを抱えたノヴァが居た。


「勝者ーー!ノヴァーーーー!」


「うォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!」


間違いなく最高潮に沸き立った闘技場、無理もない、これほどの戦いなど100年に一度あるかないかだろう。


「よし、みんな計画通り勝ってくれた。」


「こっからは僕たちの番ですね!」


俺と松田は席を立つ。


「いやー素晴らしい、人間の限界を超えた戦いでした。組み合わせ次第ではこれが決勝でもおかしくなかってのでは?」


「そうでしょうね。最後の一撃など解説不能な威力でしたよ。」


「今日の最後にふさわしい戦いでしたね。では今日の天下一武道大祭はここまで、皆さんどうもありが……誰だ?何ですかあなたは⁈」


「えーちょっとすいませんね。こっからは実況解説共に、松田でスペシャルマッチを行いたいと思います!」


「スペシャルマッチ⁈」


「いいから任せて!では選手紹介、赤コーナー、僕の先輩にして異世界チート嫌いでお馴染み、山崎雅彦ーーー! 青コーナー、現パパパペポ王国国王、パパパペポ三世ーーー!」


乱入した松田のコール通り俺はマイクを持って舞台に立つ。


「なッ?これはどういうことだ?」


パインの魔法で舞台に移動させられた国王に説明する。


「なぁに、ちょっと言葉で殴り合うだけですよ。」


松田が解説兼実況をする。


「両選手にはディベートで戦って頂きます。議題は異世界人特権の撤廃です!」


観客はもちろん貴族、勇者、国王、全員が驚いている。


これから起こる事がわかって無いようだ。


「それじゃあ始めようか、この世界の解体作業を」


俺と松田によるこの世界の最後の戦いが始まった。


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