11.計画始動
ノヴァの試練に合格し協力を得た俺たちは夜も遅いのでノヴァの城に一泊させてもらうことにした。
ノヴァは魔王の娘であるパインと話がしたいと言うので俺は今一人だ。
この世界に来て初めての一人の夜だ。
そうなったらやることは決まってる。
俺は人型になったドラゴンや人間、亜人、魔物で賑わう街に向かった。
せっかく異世界に来たのだ。
一夜だけでもハーレム気分を味わなければ失礼というものだろう。
お金も勇者の師匠になったことで正式に国から頂いている。国王に直談判して職業として認めさせたのだ。
俺はキャバクラを見つける。
看板にはサービスタイム有りとも書かれていた。
俺は期待に胸を膨らませ入店する。
「いらっしゃいませー、お客様。一人でのお越しですか?」
「ああ、一人だ。とびっきり可愛いのを三人ほど頼む。」
「かしこまりました! ではこちらの席でお待ち下さい。」
俺は案内された席でまつ。しばらくすると三人の超絶美少女達がやってきた。
「どうも、私はクルミっていいます。」
「私はポンチです。」
「私はチオです。お客様のお名前は?」
「俺は山崎だ。よろしくなクルミ、ポンチ、チオ。さあ早く座りな。」
促され三人は座る。
三人はそれぞれ大中小の柔らかそうな二つのプリンを持っていた。
俺はもちろん全て大好きだ。
俺はどんなプリンでも平等にリスペクトしている。
思わず手が伸びてしまう。
しかし
「だーめ、まだお触りの時間じゃないよ?」
「もうちょっとでサービスタイムだから我慢我慢!」
「そうだったね、ごめんごめん。君たちが可愛いもんだからついね。」
「やだーもう!山崎さんったらお上手なんだから。」
サービスタイム外でもガードは思いのほか硬かった。
気持ちを切り替えて俺は三人と会話を楽しむ。
進められるままじゃんじゃん酒を頼み浴びるように飲む。
しばらくするとサービスタイムが始まった。
「さあ、お客様!今からサービスタイムです。尻尾、翼、鉤爪、逆鱗触り放題です‼︎ 」
あれ? 胸は?
あまりの衝撃に胸をプリンと言うのも忘れてしまった。
ドロンッ!
三人の美少女はドラゴンに戻る。
「さあ!山崎さん。好きにお触り下さい。」
「尻尾、 鉤爪、 翼、どれを触りたい?」
「もしかして最初っから逆鱗いっちゃう?」
三人、いや三体のドラゴンが迫ってくる。
ギャァァァァァァァォぁぁぁ‼︎
俺の悲鳴がこだました。
翌日、命からがら会計を終えて城に戻っきた俺を既に戻っていたパインが冷たい目で見るのだった。
ノヴァとの挨拶を済まし、朝、竜の巣を出発する。
帰りは一人だった。
ノヴァがこの計画を実行するには少々パインの力が足りないと稽古をつけることになったのだ。
俺は一人寂しく馬車に乗り城へ帰るのだった。
俺が城に着く頃にはすっかり暗くなっていた。
部屋に戻ると松田がいた。
「先輩、遅かったから心配しましたよ。」
松田は俺の顔を見て安堵の表情を漏らす。
こんな俺を心配してくれてたなんてな。今度から俺の走馬灯に加えてやるか。
「帰って来たってことは上手くいつたんですね?」
「ああ、勿論だ。」
そう言って俺はあったことすべてを話した。
「へえー、やっぱり大変だったんですね。それにパインちゃんはしばらくいないのかー。」
「まあ、そういうことだ。そっちは?」
「先輩の言うとうり勇者達と能力なしで戦いましたけどタケル以外はてんで話になしませんでした。」
「そうか、お願いしてた戦いの癖とかはわかったのか?」
「いえ、たった二日じゃなんとも。でも弱点は割り出しましたよ。」
「弱点?」
「はい。強くなるためには敵よりもまず自分の弱さを自覚しろ!って言って弱点をレポートで提出させました。」
そう言って松田は俺にレポートを手渡す。
俺の指示してないことまで自分で考えて実行する。会社で期待の新人と呼ばれてただけはあるな。
「よくやった。俺は最後の仕掛けに入る。松田はこのまま勇者の弱みを探してくれ。」
「わかりました。じゃ、僕はこれで。おやすみなさい。」
「ああ、お休み。」
こうしてこの日は終わりを告げる。
翌日、俺は国王に無理を言って大臣や貴族達に混じって共に国王主催の定期会議に出席していた。
何故かって? 見たらわかる。
俺は各主席者の定期報告、街の経済状況などの全議題が終わり、もう会議も終了、というところでそっと手を挙げる。
「国王、一つ提案したいことがあります。」
「提案?なんでしょう、言ってくだされ。」
「はい、一つ街の活気を上げるために祭りをしたいと思いまして。」
「祭り? どんな祭りでしょう。」
「その名も天下一武道大祭です!一般人、冒険者、異世界人、亜人、魔物。種族、性別、出身を問わずこの世界の最強を決める祭りです!」
「天下一武道大祭? そ、それはたしかに面白そうな企画ですね。しかし、急に言われても予算とか準備とかがいくつか検討しなければいけませんのですぐに返事とは……。」
国王は開催を渋る。
しかし既に逃げ道は塞いでる。
「国王、でしたら我がプリン家が全ての予算、準備を致しましょう。私からもこの申し出の許可をお願いしたい。」
俺の提案に根回しをしていたプリン・プルルン公爵、その他プリン公爵陣営の大臣、貴族も賛同する。
結局大した反対意見も出ずにあっさり許可が出た。
これで戦う為の舞台はできた。
俺のチェックメイトまでの最初の一手はどうやら上手くいったようだ。
さあ、ショータイムの始まりだ。




