表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラフトアルケミストの異世界素材録  作者: ねこちぁん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/70

ep.68 精霊との約束

朝、畑に出ると、石が三つ並んでいた。

昨日は二つだった。

今日の分が、そっと加えられている。


「……おはよう。今日も、よろしくな」


孝平は、石の前に干し実を置いた。

すると、足元の土が、ほんの少しだけやわらかくなった。


「……受け取った、ってことか」


「精霊さんたち、けっこう律儀なんだよ~♪」


ミミルが、パンをかじりながら言った。


「“もらったら返す”って、ちゃんと覚えてるの~」


「……じゃあ、こっちも返さなきゃな」


孝平は、畑の隅に小さな棚を作った。

干し実、焼きパン、木の札。

暮らしの中で余ったものを、そっと並べていく。


「“おすそわけ棚”って感じかな」


その日の夕方。

焚き火のそばに、葉っぱが一枚、きれいに折られて置かれていた。


「……これ、昨日のパンの返礼?」


「うんうん! 光の精霊さん、気に入ったみたい~♪」


ミミルが、しっぽでぱたぱたと◎を描く。


「精霊さんたち、言葉は使わないけど、

 “約束”はちゃんと守るの~」


「……じゃあ、俺も守らないとな」


孝平は、葉っぱをそっと拾い上げ、棚の上に飾った。


「これは、俺の“ありがとう”だ」


夜。

孝平は、畑の端に杭を立てた。

そこには、木の札がくくりつけられている。


──精霊たちへ:ここは、共に暮らす場所です


風が吹いた。

葉が揺れ、土がふわりと香った。


ぽぷらんが、しっぽで◎を描いた。

その輪の中に、静かな火が灯っていた。

今回は、孝平と島の精霊たちが“約束”を交わす回でした。


言葉のない対話。

でも、確かに伝わる気配と応え。

それを信じて、孝平は“おすそわけ棚”を作り、

精霊たちは“返礼”というかたちで応えました。


この島は、ただの土地じゃない。

暮らしの中で、少しずつ“関係”が育っていく場所です。


次回は、精霊たちの“気まぐれな贈り物”が届きます。

それが、火の輪の暮らしに、ちょっとした変化をもたらすかもしれません。


それじゃ、また火のそばで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ