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クラフトアルケミストの異世界素材録  作者: ねこちぁん


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ep.65 ホムラノワ号、ふたたび


朝、ウンヌツギヘの空に、澄んだ風が吹いていた。


昨日までの霧が晴れ、海の向こうに新しい水平線がのぞいている。


「……行っておいで」


孝平が、ホムラノワ号の舵に手を添えながら言った。


「うん。火は、もう渡した。


あとは、また運ぶだけだね」


咲姫が、ぽぷらんのしっぽをなでながら答えた。



ナギは、船の縁に立っていた。


胸元の灯壺には、小さな火が揺れている。


「……まだ、慣れないな。


火を持ってるって、こんな感じなんだな」


「その火は、君のものだよ」


イサリが、ロープを締めながら言った。


「でも、君ひとりのものじゃない。


誰かに渡すための火でもある」


「……ああ。わかってる。


だから、俺もこの船に乗るよ」



ホムラノワ号が、静かに海へ滑り出す。


ウンヌツギヘの火が、遠ざかっていく。


けれど、誰も振り返らなかった。


火は、もう胸の中にある。


「次は、どこへ行く?」


果林が、帆の上から声をかける。


「風の向くほうへ。


でも、ちゃんと“帰れる場所”があるって、わかったから」


咲姫が、空を見上げる。


「どこへ行っても、火の輪はつながってる」


ぽぷらんが、しっぽで◎を描いた。


その輪の中に、朝の光が差し込んだ。


後書きも少しだけ調整するなら、こんな感じかな:

ウンヌツギヘに火を分け、ナギを迎え、

咲姫たちはホムラノワ号で再び海へ出ました。

孝平は島に残り、火の輪の“根”を守ります。


でも、出発の意味はもう変わっている。

帰る場所があるからこそ、遠くへ行ける。

火を分けたからこそ、また火を運べる。


この65話で、ひとつの区切りがつきました。

火の輪の物語は、まだまだ続きます。

でも今日は、ここまで。


次にホムラノワ号がたどり着くのは、

どんな風の吹く場所でしょうか。


それでは、また火のそばで。

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