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クラフトアルケミストの異世界素材録  作者: ねこちぁん


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ep.64 火を受け取る

その夜、ウンヌツギヘの中央に、静かな火が灯された。

ぽぷらんが◎を描き、咲姫が灯壺をそっと置く。


「ナギ。……この火を、受け取ってくれる?」


咲姫の声に、ナギはしばらく黙っていた。

けれど、やがて立ち上がり、火の前に歩み出た。


「……昔の俺なら、断ってたと思う。

 でも今は、少しだけ、手を伸ばしてみたい」



ナギが手を差し出すと、火がふわりと揺れた。

まるで、彼の迷いを受け入れるように。


「この火は、誰かを焼くためじゃない。

 誰かを迎えるための火だ」


孝平が、そっと言った。


「そして、誰かに渡すための火でもある」


イサリが、灯壺の縁をなぞる。


「だから、君が持っていていい」



ナギが、灯壺を両手で受け取る。

その瞬間、ウンヌツギヘの風が変わった。


「……あたたかいな」


「それは、火の輪の火だから」


咲姫が、ぽぷらんの◎を見つめる。


「でも、今はもう、ナギの火でもあるよ」


ぽぷらんが、しっぽで◎を描いた。

その輪の中で、ナギの灯が、静かに燃えはじめた。

ナギが、火を受け取る回。

それは、過去と和解するための儀式であり、

ウンヌツギヘが“迎える場所”として完成する瞬間でもありました。


火の輪の火は、ただ燃えるだけじゃない。

誰かに渡され、誰かに受け取られて、

そのたびに意味を変えていく。


ナギが受け取った火は、

もう“別れの火”ではなく、“つながる火”。


次回からは、ホムラノワ号が再び海へ出ます。

でも今度は、ナギの火を乗せて。


それでは、また火のそばで。

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