ep.49 火のそばで、また
夜が更けていく。
火の輪の子どもたちは、火のまわりで眠りはじめていた。
ぽぷらんは、しっぽを丸めて星の下でうとうとしている。
咲姫と孝平が、火を見つめながら並んで座っていた。
「この島、どうしてこんなに落ち着くんだろう」
孝平がつぶやくと、咲姫が答える。
「きっと、火があるからなのです。
火があると、ここが“真ん中”になるのです」
リリアーナが、火の向こうから声をかけた。
「火は、記憶をあたためるの。
だから、忘れたくないことは、火のそばで話すといい」
ミオが、眠そうな声でつぶやく。
「じゃあ……また、ここで話そうね」
ぽぷらんが、しっぽで“◎”を描いた。
「まる……?」
ナナが目をこすりながら聞くと、孝平が笑った。
「また、ここに戻ってこようって意味だよ」
火の輪の夜が、静かに終わっていく。
でも、火はまだ、消えずに燃えていた。
火島編、ここでひと区切りです。
火を囲んで眠る夜、ぽぷらんの“◎”、咲姫の「真ん中」って言葉――
どれも、火の輪らしい静かな余韻になった気がします。
次はまた、新しい出会いや出来事が待ってるはず。
でも、どこにいても、火のそばに戻ってこれるように。
そんな気持ちで書きました。
それでは、また火のそばで。




