再度の旅立ち
魔神グレゴとの戦いに勝利し、グレゴが消滅するとギンは一同に呼びかける。
「戦いは終わった。だけどこれからが本当に平和に向かう為の試練だと俺は思う」
「そうだな、魔族との戦いには勝ったがまだ人を襲う魔物もいるだろうしな」
「それだけじゃないわ。今までは帝国が統一を目指した戦争をしていたけど、帝国が方針を転換したからといって、すべての戦争がなくなったわけじゃないわ」
「でも、私達は滅びの危機を乗り越えたんです。その思いを忘れなければ世界も私達もいい方向に行くと思います」
エイムの言葉を聞いて、ムルカも自分の考えを話す。
「エイム殿の言う通りだ。戦いは我々が勝った。しかし、再び世が乱れればグレゴがまた現れ今度こそ滅ぼされるかもしれぬ」
「そうならぬようにするのが我々の役目ですな」
「とりあえずさ、どうすればいいかはこれから考えるとして、今は帰ろうよ」
「そうだな、これ以上ここにいてもしょうがねえし」
「祭壇の方に戻りましょう、きっとそこから帰れるわよね」
ミニルがそう言うとギン達は祭壇に向けて動き出す。帰る途中でルルーがブライアンに声をかけていた。
「あ、あのねブライアン、思わず嬉しくなってああいう事をしたけど、め、迷惑じゃなかったかな?」
「い、いや、それはねえけど……とりあえず帰った後にまたゆっくり冷静になってから話そうぜ」
「そうね、うん、それがいいわ」
ルルーとブライアンの話を聞いて、ミニルがヨナにこっそり耳打ちをしていた。
「ブライアンさんとルルー様、なんか一気に急接近したわね」
「あの2人は元々、よくケンカしていたけどなんだかんだお互いの事を相当意識していたと思うよ」
ヨナとミニルがブライアン、ルルーについて話しているとようやく祭壇に到着する。
「着きました。魔力を送るので皆さん乗ってください」
エイムがそう呼びかけると全員が祭壇に乗り、エイムが魔力を込めると行きと同じく転移する。
転移したギン達が周りを確認するとそこはピトリ国にあった洞窟であった。
「ピトリの洞窟だな、まずは王宮に戻って女王陛下やエンビデス達に報告した方がいいだろう」
「そうね、多分ギンが削った入り口がまだ使えるはずよ」
ルルーの言うようにギンが削った脱出口が使えており、そこからの脱出に成功したがそこにはなんとギン達にとっては意外な人物がいた。
「カイス!それにプラナも!一体どうして?」
ギン達が目にしたのはブロッス帝国の皇帝であるカイスと婚姻の儀は執り行われていないが妃となる予定のプラナであった。更にその周辺にはエンビデスやトーラスもいた、そしてカイスがここにいる理由を話す。
「エンビデスの魔力が回復したと報告があったので我らもお前達を救出すべく祭壇へと向かおうと思ったのだ」
「そうだったのか、だが俺達は戦いに勝利し、こうやって無事に戻ってきた」
ギン達の報告を受け、エンビデスは部下にピトリ女王への報告を命令する。
「女王陛下にすぐに報告だ、当面は魔族との大きな戦争はないとな」
「はっ!」
エンビデスの部下が王宮へ向かうと、カイスはギンにある事を打ち明ける。
「ギン、実はプラナとも話したのだがお前に任せたい事があるのだ」
「俺にか?」
「うむ、かつてルワール王国があった地は今はブロッス帝国が併合し統治しているのはお前も知っているな、その地の領主をお前に任せたいと思っている」
「何だって?俺が旧ルワールの地をか!」
ギンは驚愕するが更にプラナも話を続ける。
「兄さん、今回の戦いで兄さんの事を思い出した領民もいたし、かつての領主の子で魔族を打ち破った功労者なら受け入れられやすいと思うわ」
「プラナ……」
ギンはカイス、プラナの発言を聞いてしばらく考え、カイスに返答をする。
「カイス、話はありがたいが今は保留という形にしてはもらえないか?」
「何故だ?お前の故郷に戻れるというのに」
「今回の戦いでまだ俺は世界を良く知らずにいたという事を思い知った。もう少し、旅を続けて改めて返事をしたいと思っている」
「……分かった、それまではその地は私が管理しておこう」
「すまんな、迷惑をかける」
ギンは当面旅を続ける事をカイスに告げると今度はエイムがギンに対して呼びかける。
「ギンさん、その旅に私も一緒に行っていいですか?」
「エイム、もう戦いは終わったし、ご両親の元に帰らなくていいのか?」
「私ももっといろんな世界を見ておかないとと思ったんです。ギンさんと一緒ならお父さんもお母さんもきっと許してくれると思います」
「エイム、分かった。これからも一緒だな」
「はい」
戦いを終え、再び旅立つ決意をしたギンとエイム、これからの彼らの未来の行く末は?




