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魔法戦士ギン  作者: burazu
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しばしの休憩

 グラッスへの入国を果たすことに成功したギン達。森林こそなかったが道筋の近くに川が流れており、川に落ちないように馬車を御しているギンにムルカが声を掛ける。


「ギン殿、川から離れて少し休憩にしないか?みなも食事が必要であろう」

「そうですね。っと、とりあえずあの木の近くまで移動しましょう」

「うむ、すまんがそうしてくれ」


 そうしてギンは馬車を移動させ、大きな木に寄せていき。馬車を停車させ、全員に呼びかける。


「とりあえず、一旦ここで休憩しよう」


 ギン達は休憩場所を見晴らしがよくもし、何者かが接近してきても気付きやすいように思い、選んだのである。今度はムルカが全員に呼びかける。


「私は少し周りを確認してくる。ジエイ殿から危険な情報の報告がないから大丈夫だとは思うが念のためにな」


 ムルカの発言に疑問を持ったブライアンがムルカに言葉を発する。


「ちょっと待ってくれ、その可能性もあるが、あいつがすでに帝国か、もしくはグラッス内で怪しいからって捕まっちゃあいねえか?」

「うむ、グラッスへは正規の手続きで入っているから問題はないだろうし、帝国にしても2度も主力部隊を我々が撃退しておるし、そう何度もジエイ殿1人の為に戦力を割く真似はせんと思うが」

「そういうもんかねえ」


 呟くブライアンにギンが声を掛ける。


「ムルカ殿は念の為と言っているんだ。帝国がいたらいずれにしても戦うしかないだろう」

「そりゃそうか」


 ギンとブライアンが話しているさなか、ムルカが全員に呼びかける。


「では周りの確認に向かう」


 ムルカの言葉を聞いてルルーが返答をする。



「お気をつけて」


 その言葉を聞き、ムルカは周りの確認に向かう。残されたギン達はどうしようかというときにブライアンが言葉を発する。


「じゃあ俺は木陰で昼寝でもしてるから出発する際に起こしてくれ」


 ブライアンの昼寝という言葉にルルーが困惑の態度を示す。


「あんた、よくこんな時に昼寝なんてできるわね。緊張感ってものがないの」

「あのなルルー、よく寝る奴が最終的に生き残るんだぜ」

「いや⁉意味わかんないんだけど!」


 ブライアンとルルーが昼寝について議論している中ギンが言葉を発する。


「今回ばかりはブライアンの方が正しいな。いざという時に備えて体と頭を休められる者が生存率が高いというのは本当だ。一瞬の判断にも関係してくるからな」


 ギンの言葉を聞いてルルーに対して勝ち誇った顔でブライアンがルルーに言葉を発する。


「どうやら、俺の方が正しいようだな。というわけでもう寝るぜ」


 そう言うとブライアンは木陰に横たわり、あっという間に入眠して、ルルーにツッコまれる。


「寝るの早やっ‼」


 ルルーの言葉を聞いてギンが言葉を掛ける。


「だが、こいつは危機を察知すれば誰よりも早く目を覚ますタイプだ。戦士も漁師も向いているな」

「漁師⁉何のこと?」

「こいつは漁師になるのが夢だそうだ。だからたまに思うな。この戦いに巻き込んで申し訳ないと……」


 ブライアンに対して少し申し訳なさそうな感じを見せるギンにルルーが言葉を掛ける。


「そんなことないんじゃないかな。私達の中で一番自由な身のはずのブライアンがここにいるのも自分の意志で決めたからじゃないかな。本当ならどこへ行こうとも誰にも文句なんて言われないのに」

「ルルー……」

「そういう意味じゃあ、むしろ感謝してるわ。彼の心意気には」


 ギンは自らのブライアンを戦いに巻き込んだ申し訳なさを吐露すると、ルルーから彼に対する感謝の気持ちを聞くことが出来た。次の瞬間ルルーはある言葉を発する。


「でも言わない方がいいと思うわ。あいつ絶対調子乗るから」

「同感だ」


 ギンとルルーの意見が一致するなかエイムの姿がないことに2人が気付く。


「ねえギン、そういえばエイムは?」

「そういえば一体どこへ?」


 2人が辺りを探す中ループが2人に鳴き声を発する。


「ループどうしたの?」

「まさか」


 ギンはループの鳴き声を頼りに馬車の中を覗き、ある光景を目にする。


「エイム」


 なんとエイムは馬車の中で眠っていたのだ。ほっとしたルルーが言葉を発する。


「良かった。でもずっと馬車の中で寝てたんだ」

「エイムも過酷な戦いに音もあげずについてきてるんだ。たまにはいいんじゃないのか」



 ギンの優しさが垣間見える表情を見てルルーが言葉を発する。


「そうね、その言葉を聞かせてあげればこの子喜ぶと思うから。今度言ってあげて」

「俺がか?」

「そうよ」


 ルルーの言葉を聞いてギンはそれ以上何も言えず、水汲みを申し出る。


「とりあえず、水を汲んでくる。ちょうど川が流れているからな」


 そう言ってギンは水汲みに向かうのであった。

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