馬車の迎え
ジエイの研ぎ澄まされた感覚により、洞窟のわずかな隙間が発見され、脆い部分を魔法剣で削る事でギン達は何とか地上への脱出に成功する。
「やったーーー!地上に出たぜ」
ブライアンが地上に出た事を喜んでいるとジエイが一同に呼びかける。
「念の為、この道は封鎖しましょう」
ジエイはそう言って、印を結び石を手から放ち、洞窟の脱出口を封鎖する。
「これでこの道から魔物が出てくることはないでしょう」
洞窟の脱出口を防ぐことには成功するが、ルルーは気がかりな事があり、それを一同に告げる。
「みんな、とりあえずピトリの王宮に戻らなくちゃいけないけど、魔力を与えたとはいえ、体力を消耗しているリーザさんにこの距離を徒歩で移動するのは過酷だわ」
「だがこのままここにいるのも危険だぞ、魔物が俺達が最初に通った入り口に回って来るかもしれねえし」
ルルーが今のリーザの体力ではピトリ王宮までの徒歩での移動は負担が大きいことを主張するとブライアンは魔物が本来の入り口を経由する恐れがあると指摘し、両者の意見を聞いてギンが言葉を発する。
「それなら俺が速度強化魔法で王宮まで戻り、ムルカ殿とウィルにこの状況を伝え馬車で迎えに来てもらうようにしてもらう」
「お待ちください、ギン殿は長く魔法剣を発動し魔力がかなり消耗しているはず、私が行って参ります」
ギンが速度強化魔法で王宮まで戻り、ムルカ達に知らせに行く事を主張するとジエイが制止し自らが行くと告げると、エイムが何かに気付き、他の仲間に声をかける。
「皆さん、あれ、馬車がこっちに向かっています、それも馬車を引いているのが……」
「ループだ、ループの馬車だ!御しているのが……」
「ウィル殿です!」
何とループが馬車を引いてギン達の元に向かっており、馬車を御しているのがウィルである事にも一同は気付き、馬車が近づくとまずブライアンがウィルに声をかける。
「ウィル!一体どうしたんだ⁉」
「どうしたって、お前達が心配になって助けに行こうと思ってな、ムルカ様は王都に残ってもらったけどよ」
「いや、助かるぜ体力が落ちてるリーザをどうやって連れて帰るか悩んでいたところだったからよ」
「リーザさん!リーザさんを助けたのか⁉って事は魔族も倒せたんだな!」
ウィルはギン達がリーザの救出に成功した事で魔族との戦いにも勝利したものと思って喜ぶが、次の瞬間一同の顔が渋くなり、空気の変化を察する。
「え?ど、どうしたんだみんな?その顔」
「ウィル、馬車の中で状況を説明する」
リーザを救出したものの、魔族にとっては目的の1つを達している為、ギン達にとって苦しい状況は変わらないのである。




