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恋をしたら死ぬとか、つらたんです  作者: イサギの人
第四章 ピッカピカ☆新たな一日は恋の冥土♡
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48限目 二日目、生きてクリアを……えっ!

 こんかいのあらすじ:みじかめです

 

 そろ~~~~っと。

 静かにドアを開き、ヒナは中の様子を窺う。


 藤井家は昨夜、ヒナが一晩かけて精神制圧完了したはずだから、もはや危険はないはずだが、念のためだ。

 生き別れになった義理の妹とか、突然そんなのが空間転移して現れないとも限らない。

  

 大丈夫だ、視界の中には誰もいない。

 薄暗い自宅の玄関。しかしすぐに気づく。


「……あれ?」

 

 両親の靴が揃って置いてある。なぜだろう。

 会社を休んだのだろうか。病気だったら心配だ。

 

 音を立てないように後ろ手にドアをしめる。

 するとリビングのほうから声がした。

 

『……ヒナ、帰ってきたのか……』

『あなた……』

『……もう一度、話してくる……』

『もう、よしなさいって……』

 

 なんだろう、すごく深刻な感じだ。


『……だが、ヒナはあんなことを言うような……!』

『やめてよ……』

『……しかし……!』

『ヒナちゃんになにかあったら、なんだかすごく、すごく怖いことが起こりそうな気がするのよ……!』


 休んでまでなにをしていたのかは少し気になるけれど、大人の会話は邪魔しないでおこう。

 ヒナは急いで階段を上る。 

 

 幸い、弟の翔太は帰ってきていないようだった。

 それでも注意を重ねて、首を出して二階をのぞき込む。

 

 できることなら催涙弾の二、三発でも投げ込んでしまいたいけれど、だめだ。

 今のヒナはJISに定められた基準をクリアーした防護マスクを持っていない。

 

 己の準備不足をつくづく呪いながら、ヒナは姿勢を低くして廊下を駆け抜ける。

 思いついた7種類の突入方法のうちでもっとも危険な手段を取ってしまったが、仕方ない。

 家を爆破する以外の方法だと、これしか残っていないから――。


 足下から滑り込み、ヒナはぴったりと自分の部屋のドアに背をつけ、それから耳を当てる。

 我ながら呆れてしまう。なんて原始的な索敵手段か!

 

 ここが現実世界なら30センチまでのコンクリートの壁を透視する動体センサを用意できたのに。

 今まで意識したことはなかったが、『乙女ゲー』とはままならないものだとヒナは思う。

 対象の携帯電話に発信器を埋め込み、常にその居場所を把握することすらできないのだから。


 ヒナはあきらめて、ドアレバーに手を伸ばす。

 

 最初はゆっくりと。それから急に開け放つ。


「――動かないでください(フリーズ)!」

 

 指を鉄砲の形にして、部屋の中に突き出す――。

 


 ――が、誰もいない。

 

 

「……」

 

 部屋はヒナが出ていったときのままだ。

 人が踏み込んだ形跡はない。


 それでもあるいは、もしかしたらなにかがあるのではないかと警戒は怠らない。

 豹のような目で油断なく辺りを見回しながら、ヒナは机の上に置いた日記に手を伸ばす。

 

「……っ」

 

 一瞬だけ躊躇したのは、もしこの日記がすでに爆弾に変えられていて、触れた瞬間に起爆したらどうしよう、と思ったからだ。

 ヒナはポケットから出したハンカチを日記に放る。だが、なにも起こらない。


「……」


 大丈夫だ、日記には誰も手をつけていない。

 その証拠に、出かける前にヒナの髪の毛を日記の下に挟み込んでおいたが、数ミリも動かされた形跡はないではないか。

 

「……」

 

 覚悟を決めよう。

 未来はヒナの手の中にあるのだ。


 ヒナはそっと手を伸ばして……。



 日記に触れる。

 ウィンドウが浮かび上がる。


「……」

 

 

 ……。

 


『 セーブが完了しました 』の文字がポップした。



「……」

 

 ――これで、二日目は完了、だ。


 どっと汗が吹き出たような気がした。

 もちろんセーブは上書きせず、別の欄に。言うまでもない、乙女ゲーマーのたしなみだ。

 

「ふぅぅ……」

 

 大きくため息をつく。

 なんだか不気味な心地がするのは、どうしてだろう。

 障害もなく、あまりにもあっさりと二日目を攻略できてしまったからかもしれない。

 

 凛子の微笑みでうっかりと死んで、それから七海光に殺され続け、一時期は精神崩壊してしまいそうだったけれど。

 でも、200回も死なずに攻略できてしまった。


 一日目に比べたら、あまりにも順調すぎる。

 だんだん怖くなってきた。

 

「……なにかどこかで、落とし穴があるような気がします」

 

 そんなことをつぶやいて、鞄を机の上に乗せて。

 気づいた。



 ――キーホルダーとしてくくりつけられていたシュルツがいなかった。

 まさか自分が気づかないなんて、そんな信じられない。ヒナは叫ぶ。

 


「――えええっ!?

 シュルツさん落としちゃったー!?」

 

 シュルツより一言:



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