表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋をしたら死ぬとか、つらたんです  作者: イサギの人
第四章 ピッカピカ☆新たな一日は恋の冥土♡
45/103

37限目 二日目の死の壁はまだまだ厚いです

 前回のあらすじ:命短し恋するな乙女。……やめろ! 恋するな!

 

 お昼休み。

 そそくさと教室を出る凛子の後を、気づかれないように追いかけるヒナ。

 

 こういうときに、特徴もなく目立たない容姿の自分は楽だと思う。

 以前は確かに自分の美しさを磨こうとメイクなんかに凝っていた時期もあったけれど。

 

 結局、『美人は三日で飽きる、ブスは三日で慣れる』の言葉が指すように。

 清潔感があり、人に不快感や嫌悪感を与えない程度の格好をしていればいいのだと、ヒナは悟ったのだ。

 

 年の割には老成している考え方かな、って思う。

 でも自分のこれといった武器なんて思いつかないし、って思う。 

 

 それをシュルツが聞いたら「いや拳だろ」って答えただろうが。

 それはさておき。

 

 前回同様に校舎裏でお弁当箱を広げている凛子の元へとやってきたヒナ。

 

「え゛っ、藤井さん」

「やっほう、リンコ。

 ご飯食べよ」

 

 凛子は果たして、当たり前のように自分を見つけだしたヒナを見て今、なにを思うのであろう。

『知らなかったのか? 大魔王からは逃げられない』の一文が表示されているのかもしれない。

 

 そんな凛子と他愛ない世間話をしながら食事を摂るフリ――だってほとんど味がないから――をしていると。

 例によって不良のふたりが逃げてきて、その後ろから虎次郎が現れた。

 

 凛子と虎次郎の言い争いを観戦するヒナ。

 手持ちぶさたなので、合いの手を入れることにする。


「ちょっと虎、またケンカ?」

「いよっ」

「あいつらが突っかかってくンだよ。

 マジでうぜーよな」

「だよねー」

「あんたが相手するからでしょうが」

「かーらーのー?」

「……なんだよてめー」

「……藤井さん、うるさい」


 ふたりに睨まれた。

 ちょっと悲しい。

 

 しかしふたりの注目を引くことができたようだ。

 ヒナは小さく頭を下げる。


「えっと、藤井ヒナっていいます。

 昨日転校してきました。よろしくお願いします」

「……しらねーよ」

「あ、虎次郎さん怪我してますね、大丈夫ですか?」


 そんな風に自分から切り出してみると。

 凛子が慌てながらポケットからハンカチを取り出した。


「えっ? あっ、ほんとじゃないの。

 あんたってば……」

 

 ため息をつきながら、

 凛子が虎次郎の頬に手を伸ばす。


 しまった。

 そういう風になってしまうのか。

 

 ヒナは少し焦る。

 虎次郎と凛子のほうが間合いが近い。

 

 一歩の距離で詰められる位置だけれど、

 そうなった場合、どちらかとの接触は免れない。

 

 遠当てか。あるいは剣気を叩きつけようか。

 いやそもそも、なぜまず力ずくを思いついてしまうのか。

 こないだから少し変だ。自重しないと。


 それに、ふんわりとした凛子の髪の香りを近くで感じてしまったり、

 凛子をかばって後ろから抱きしめた場合、致死率は150%に及ぶだろう。

 一度死んで、さらにもう一度思い出して悶えて死ぬ確率が五割、という意味だ。

 

 どうしようどうしよう。

 まあなんでもいいか。


「あーーーーー!!?」

 

 遠くの雲を指さしながら、とりあえず叫んでみた。

 ギョッとした顔でこちらを向くふたり。


 なんでもないですよ? みたいな顔をして見返す。

 ふたりの行動をキャンセルすることに成功したようだ。

  

 よし。目的は達した。

 実行する勇気と意志さえあれば簡単なものだ。

 

 ふたりはむしろヒナを見ながら、

「……なにあいつ」「さ、さあ……」みたいなことを囁き合っている。


 人は敵を作ると一致団結するという。

 ヒナの空気を乱す行動は、彼らにとっての敵となったわけだ。

 めでたしめでたし。つらたん。

 

 頭の上の青い矢印が下を指すかのような、

 好感度の下落をひしひしと感じながら、ヒナはあくまでも微笑みを絶やさない。


 まあまあ、いいじゃないか。

 自分が犠牲になるだけでいいなら。いくらでも笑われよう。

 えへへ、と笑い返す。

 なのになんだか怖がられている(怯えられている?)気がする。

 

 それはいいとして。


「あ、わたしに構わず、どうぞどうぞ続けてください」

「……え゛?」

「……あ?」

 

 仲良きふたりを見守り(かんしし)ながら、

 ヒナはその場で両手を合わせて、ニコニコと告げる。

 

「このまま、とりあえずお昼休みを過ごさせてもらっていいですか、いいですよね?

 ここ、とても安全そうなので」


 それを聞いたふたりは……


『……はあ?』

 

 とても仲良く、眉をひそめていたのだった。

 

 

 

 ◆◆

 

 

 

 と、お昼休みからの帰り。

 五時間目までの安定ルートを開拓したヒナは、浮かれていた。

 

 これならば二回目の挑戦で二日目を攻略してしまう可能性も十分にあり得る。

 シュルツにいったいなにをお願いしよう。


 なでなでよりすごいことだ。

 ぎゅーっとしてもらったり、許されるだろうか。

 

 あまつさえ、あまつさえ。

 もっとすごいことをしてもらったり……

 

 想像するだけで抱き枕に両手両足を絡ませながら、

 廊下でぐるんぐるんと転げ回りたい気分だ。

 

 といっても、外見の偽装は完璧だ。

 プリーツの裾は乱さないように、白いセーラーカラーは翻さないように、

 ゆっくりと歩くのがヒナのたしなみだ。

 

 と、そこに。


「お、子猫ちゃん、ちょっといいかな?」

 

 ぴたり、とヒナは足を止める。

 シュルツは抱えているから、後ろからは見えないはずだ。

 ……自分のこと、だろうか。

 

 辺りには人影がない。

 不自然なほどに。


「……にゃあ?」

 

 振り返る、と。

 そこにはいかにもチャラそうな髪の長い背の高い青年が……いた。

 

 にっこり、と。

 真っ白な歯がきらりと輝く、ロンゲにアクセサリーをつけた彼。

 

 確信する。

 絶対攻略対象キャラだ。

 100%そうだ。

 

 美形レベルが段違いなのだ。

 顔だけなら、今までに登場したキャラクターの仲でもナンバーワンである。

 後光が差して見える。


 圧倒的なイケメン力を前に、

 ヒナの髪がぱらぱらとはためいてしまっていた。


 オーラ、ハンパない。

 オーラロードが開かれそうだ。


 ヒナにとって彼の姿は、

 芸能人よりも輝いて見えたのだった……。

 

 

  

 ついに登場した先輩キャラ。


 彼を乗り越えて二日目の壁を突破することができるのか。

 わずかにつま先立ちで構えを取るヒナは、なぜ戦闘態勢に入っているのか。

 それは彼女の気合いのあらわれなのか。

 果たして龍を屠るその拳は、イケメンの顔面を破壊してしまうのか。

 愛の花と恋の花は、学園に咲き乱れてしまうのか。



 To Be Continued...(ドドドド……)


  

 シュルツより一言:次回、ヒナさん死にます(予言)。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ