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●第一話 ダークエルフについて

 ダークエルフの少女――メーニャに彼女がどの道を通ってここまで来たかを聞き、まずはそちらへ向かう。


「ええっと、確か、こっち……う、こっちかな?」


 線路上にトンネルに横通路が合流し、枝分かれしている場所でメーニャが迷う。

 彼女も途中でグレイウルフに追われたせいか、道順の記憶が曖昧のようだ。


「間違っていても大丈夫よ、メーニャちゃん。片方ずつ、お姉ちゃん達と一緒に少し歩いてみましょうか」


「うん!」


「なんか、リリが大人っぽい……」


 晶が少し不思議そうな顔をする。


「記憶が少し戻ったんだろう。リリの故郷も、この先にあるかも」


「久々津、さっきもそんなことを言っていたけど、どうしてそう思ったの?」


「【竜眼】の【鑑定】スキルで、その子がダークエルフという種族だと分かったからだよ」


「それって……」


「ゲームに出てくる種族、ですよね?」


「そうだ。だが、僕ら人間とは違うし、ほら、異世界とかあるだろ」


「ええ? そんな世界が――そっか、”つながっている”かもしれないんだ。ダンジョンを通して」


 晶もあるわけないと言いかけて、ダンジョンの存在を思い出したようだ。

 これまでの科学や物理法則をまるであざ笑うかのように、常識を覆してしまう存在。

 誰が作ったのか、どうして存在するかもわかっていない存在。

 ――ならば。


 ”ダンジョンはあるのに、異世界なんてありえない”


 それを断言できる根拠は、今の僕らにはないのだ。

 そして、もし、異世界へとつながっているのなら……ダンジョンで行方不明になった晶の姉もそこで生存している可能性が出てくる。


 ただ、その点はぬか喜びになるとあとがキツいだろうから、軽々しく言わないようにしないとな。


「違う。こっちは来たことない」


「じゃ、さっきのところまで戻りましょう」


 道を引き返し、トンネルの横穴に入る。途中、トンネルのコンクリートが崩れており、さらに横穴があった。


「あ、ここだよ、お姉ちゃん。私、ここをくぐってきたの」


「そう」


 みんなでうなずき、その横穴をくぐる。


「みんな、ここは足下に注意してくれ」


 途中、コンクリートの割れ目からは湧き水が結構な勢いで流れていた。大きめの破片がいくつも転がっている。


「水たまり……靴が濡れちゃうから嫌だなぁ。この破片に乗って跳んだら行けそうかな」


「柑奈、滑るかもしれないし、危ないぞ」


「そうですね。やめとくか」


 気を付けて進む。横穴を抜けて、僕らは立ち止まる。


「ここは、雰囲気が変わったな」


「そうですね。これは天然洞窟、でしょうか……」


「ああ、そうだな」


 コンクリートの壁がなくなり、ゴツゴツとした岩が続き、天井部分には、つららのような鍾乳石が無数に垂れ下がっている。空気がひんやりしていて、遠くからは時折、水滴の落ちる音がした。


「ちょっと待って、久々津、暗いんだけど」


「ああ、ごめん」


 僕は【竜眼】のおかげで【夜目】を持っているが、晶や柑奈はそうではなかった。【次元アイテムボックス】から懐中電灯を取り出して、二人に渡し、僕もスイッチを入れる。


「わぁ、お兄ちゃん、それ、とっても明るい魔導具だね!」


「いや、これは『懐中電灯』と言うんだけど、まぁ、魔導具でいっか」


 異世界のダークエルフに、電気とLEDの説明ができるほど僕は詳しくない。


「魔導具って……」


「ダンジョン産のアイテムにそれっぽいのがありますよね。魔石を入れると光るカンテラとか。値段が高すぎて、買う気になれないですけど」


 洞窟を歩いていると、キラキラと反射するものがあった。


「あっ! 水晶茸だ!」


 メーニャがダッシュしてそのキノコをむしりはじめた。キノコは所々に水晶の結晶を取り込んでしまっているようで、とても食用に適しているとは思えない。


「メ、メーニャちゃん、もしかして、それを食べちゃうの?」


 柑奈もそう思ったようで、恐る恐る聞く。


「そうだよ。この水晶の石は取って捨てちゃうけどね」


「ああ、水晶は食べないんだ、良かった……ふぅ」


「こんなの食べれないよ、石だもん」


「よし、じゃあ、手分けして集めよう」


「ううん、大丈夫、そんなにたくさんいらないよ。五本もあればいいかな」


 メーニャが腰に巻き付けているベルトにぶら下げた袋に、水晶茸を入れた。


「出口はこっちだよ、お兄ちゃん、お姉ちゃん。里まで案内するね」


「ええ、ありがとう」


「でも、大丈夫かな、エルフの里まで行って」


 僕はちょっと不安になる。


「エルフって排他的でしたよね? ゲームの中でですけど」


 柑奈もそう思ったようだ。


「でも、ここが地球のゲームと同じとは限らないんじゃない? それに、メーニャは私たちを見ても別に何とも思っていないようだし」


「それは……どうでしょうか。このくらいの年頃だと、里の掟を理解していない可能性もあります。ダークエルフはあまり人族の街には姿を見せず、エルフも部族によっては排他的ですので……歓迎されないかもしれません」


 リリが懸念したように言う。彼女もそこはよく知らないようだ。


「ま、それでも、僕らで里まではメーニャを送っていこう。彼女一人では、グレイウルフに襲われたらひとたまりもないし。追い返されたら、そこで帰ればいい」


「そうね」「はい」


 ただ……いきなり矢でヅガッ!と襲われなきゃいいんだけど。


「僕が先を歩くよ」


 【竜眼】で隠れているエルフを見逃さないよう、僕は注意しながら言った。


ノリノリで書いていたのですが、途中で書く気が失せました。すまぬ。。。

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