●第十一話 ステータス
日が傾いてきたところで入り口に引き返し、僕らは上野ダンジョンを出た。
【竜眼】のおかげもあってか、大量の魔石、薬草を手に入れている。古手川が「自分、どんだけ詰め込んで持ち歩いたんや!」と驚くほど、【次元アイテムボックス】には大量のアイテムを収納できた。重さも感じない。これ、凄く便利かも。
古手川も二条も薬草はいらないと言ってくれたので、魔石とドロップアイテムだけギルドで換金して分配し、家に帰る。調合用に、ギルドで販売していた乳鉢と乳棒などの初心者向け調合セットも購入してある。
自宅に戻り、サンドイッチだけだが食事と風呂も済ませた。
「さて、調合の前に……これだよな」
『レベル 5 久々津凪
STR 10
AGI 9
VIT 6
MAG 3
DEX 4
LUC 9
残りボーナス 4
次のレベルアップに必要な経験値 21』
ギルドの攻略サイトを検索してみたが、ステータスがこのように表示されるという情報は無かった。レベルは冒険者カードなどによって測定され、原理は僕には分からないものの、この【竜眼】を使わなくても普通に見ることができる。モンスターを倒していくとレベルが上がり、段々と戦闘力やその他のスキルが強くなることはよく知られている。
だが、この残りボーナスというのは、ひょっとすると……
「ひとまず、試してみるか。上げるとしたら、やっぱりAGIやVITだろうな」
解説や説明は付いていないのだが、ゲームでおなじみなので、意味はすぐに分かる。
AGIは素早さ、VITは耐久力や体力に関係しているはずだ。
ショートソード+2のおかげで、戦闘スキルがない僕でもモンスターを一撃で倒せるようになっているので、今はSTR――筋力や攻撃力――を上げる必要はなさそう。MAGは魔法スキルを持っていないから、意味なし。上げると魔法を覚えたりするんだろうか? でも、ギルドの攻略サイトの情報では、魔法を自然に覚えたという事例は皆無だった。
魔術師系のクラスは呪文さえ覚えれば、使えるようになることもあるという。クラス転職には、一定の条件をクリアしたり、専用のアイテムが必要となる。
たとえばナイトであれば、味方への攻撃を十回以上かばい、レベル10くらいになれば、自然とクラスチェンジしていることがある。ただ、望まないクラスには転職することはほとんどない。
ナイト、メイジ、プリーストなど、中級職まではこうした転職条件がほぼ解明されているが、上級職、聖騎士パラディンやウィザードのようなクラスは転職条件が不明のままだ。
ただ一つ、わかっていることは、その系統の中級職以上でからでないと上級にはクラスアップできないということ。中級職になってから特殊なアイテムを使ったらなれたという報告がある。レアアイテムだから、簡単には手に入らないけど。
晶が後衛だから、僕としては前衛、ソードマンあたりを目指すのがいいだろう。ナイトも心惹かれるのだが、鎧などの装備は高いし。
「AGI上がれ~」
まずは念じてみる。
『レベル 5 久々津凪
STR10
AGI 9+1
VIT 6
MAG 3
DEX 4
LUC 9
残りボーナス 3
次のレベルアップに必要な経験値 21』
「おお!」
簡単に調整できた。減らして元に戻そうと思ったら、戻ったので、気楽に試せそうだ。
1つAGIを上げるごとに100メートル走が何秒くらい縮むのか、検証しても面白そうだが、面倒なのでやめておく。今やりたいことは、ステータスの他にもあるからな。AGIとVITを2つずつ上げておいた。
『レベル 5 久々津凪
STR 10
AGI 11
VIT 8
MAG 3
DEX 4
LUC 9
残りボーナス 0
次のレベルアップに必要な経験値 21』
「これでよし」
ひょっとしてSTRを下げて極振りも調整できるのかと試してみたが、一度割り振って、8+1の+の表示が消えてしまうと、もうどこも調整はできない様子。
「うーん、不可逆か……これ、下手をすると詰む危険性があるな。極振りは絶対にやめておこう」
MAG以外をバランス良く育てていくか。




