表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男子は根性 〜 根性があればなんでもできてしまう男の恋物語 〜  作者: しいな ここみ
根性でも背は伸びない! の巻

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/33

根性はやっぱり素晴らしい……けど!

 美化委員会の仕事で遅くなった。


 根性部の部室に顔を出すと、誰もいない。

 梓ちゃんは先に行ってたはずだ。たぶん柏木くんもいただろう。


 柏木くん、コンジョーくんにあのこと、言いに行ってくれたのかな。

 ──でも、余計なことまで言わないよね?

 つい、梓ちゃんには話しちゃったけど、あんなことコンジョーくんに伝えたら……


 コンジョーくんはテストの点数が悪かったらしく、居残りだ。


 一人の部室は寂しい。

 編みかけのマフラーを取り出し、続きをやりはじめた。


 編み物をしながら、今日のお昼のことを思い出す。

 屋上で、二人並んでお弁当を食べた。

 初めてあたしが作ってきたサラダを、コンジョーくんは喜んで真っ先に食べてくれた。

 嬉しかった。

 けど……本当は……


 ガラッ! と扉が開き、ちっちゃな彼が入ってきた。


「朝日奈笑っ!」


 あたしはわたわたとマフラーをバッグの中へ隠した。

 

「ハルトから聞いたぞっ!」


 あ。柏木くん、言ってくれたんだ。

 無理しないでって。

 身長を伸ばすにも、体に負担のかからないやり方でやってくれって。


 あたしは笑顔で、でもできるだけすっとぼける感じで答えた。


「もしかして、身長の伸ばし方のこと? 無理はしちゃダメだぞって?」


 するとズンズンと彼がまっすぐに近づいてきて、両手であたしの肩をがしっ! と掴んできた。


 ま、まさか……


 キス……される?


 こ、心の準備が──


「朝日奈笑っ!」

「は……、はいっ!」


「俺……、身長伸ばすのやめたっ!」

「え……。ええっ!?」


 はっと気づくと、少し開いた扉の隙間から、梓ちゃんと柏木くんが覗いてこっちを見てた。ニヤニヤしている。

 

 まさか……梓ちゃん……


 あのこと、話しちゃったのー!?


 あたしはちっちゃいコンジョーくんのほうが、かわいいから好きだってこと!

 でも彼が身長高くなりたいなら、あたしごときにそれを止める権利はないって言ったのに!


 感動しているように涙を流しながら、彼が言う。


「おまえがちっちゃい男が好きなのなら、俺はむしろどこまでも低身長になりたいぐらいだ!」


 やっぱりーーー!!!


 そこは話しちゃダメって言ったのにーーー!!!


『身長伸ばすのはいいけど無理なやり方はしちゃダメ』って、あたしが言っても『心配するな』で返されちゃうから、柏木くんに厳しく言ってほしいってお願いしただけなのに……!


 この、口軽女が! と視線で訴えるように梓ちゃんのほうを睨むと、口に手を当てて含み笑いしてる。ムカつく! 柏木くんまで同じポーズで笑ってる!


「朝日奈笑」

 手を握られたので、視線をまたコンジョーくんのほうに戻した。

「早く言ってくれればよかったのに。そうすれば、俺は無駄に悩みはしなかったのに」


「だ……、だって……」

 わたわたしながら、あたしは言った。

「男の子が高身長になりたいのって、自然な欲求でしょ? あたしがちっちゃいコンジョーくんが好きだからって、身長伸ばすのを邪魔したら、一生背が低いままになっちゃう。そんなこと──」


「結婚してくれ」

 大真面目な顔で、彼が言った。

「ちっちゃい俺を、一生キミのものにしてくれれば、それで解決じゃないか」


「おめでとーう!」

 扉がばしっ! と開いて、拍手をしながら柏木くんが入ってきた。


「きゃー! おめでとう!」

 その後から梓ちゃんも拍手しながら入ってきて、すぐに柏木くんを後ろから小突いた。

「せっかくえみが返事する番だったのに潰すんじゃないわよ、この糞イケメン!」


 部室を走って逃げ出そうとしたあたしの手を、後ろからコンジョーくんが掴んで止めた。


「おまえがちっちゃい男が好きなのなら、俺は一生ちっちゃいままでいいんだっ!」


「ご……、誤解しないで!」

 あたしは言いたいことを言ってやった。

「あたしはちっちゃい男が好きなんじゃなくて、ちっちゃいコンジョーくんが好きなんだからっ!」


「根性オォォ!!!」


「きゃっ!?」


 コンジョーくんがいきなりあたしをお姫様抱っこして、窓から飛び降りた。ここ三階なんだけど──


 すたっと地面に着地すると、あたしに聞いてくる。

「俺のどこが好きだっ? ちっちゃいところか?」


『面白くてかわいいところ』と答えようとして、それじゃあんまり褒め言葉にならないかな──と思って、あたしは答えた。


「もちろん、根性があるところだよ」


 上の窓から柏木くんが、どこに持ってたのか紙吹雪を振り撒いてきた。

 隣から梓ちゃんも顔を出して、柏木くんの手から紙吹雪をかっさらって振り撒いてくる。


「そうだっ! 根性は素晴らしい……が!」

 コンジョーくんがあたしをお姫様抱っこしたまま、走り出した。

「おまえの言う通りだ、朝日奈笑! 根性で何でもできるといって、体に負担のかかるようなことはしちゃダメなんだ!」


「うん」

 抱っこされながら、あたしはうなずいた。

「ちっちゃいなら、ちっちゃいままでいいんだよ。それがコンジョーくんなんだからっ」


「俺を肯定してくれる朝日奈笑が好きだっ!」

 コンジョーくんの走るスピードがどんどん速くなった。

「天使のようなおまえが好きだ! 根性オォォォォーーーッ!!!」


「と……、ところでどこまで行くの?」


「世界の果てまでだ! 二人の世界へ行こう!」


 ビルの屋上へ飛び上がり、コンジョーくんは空を飛んだ。


 まるでスーパーマンとランデヴーしてるみたいだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
あ────今、もう星入れてしまいそうでした⭐︎(*´ω`*) 最終回ではないよね?と確認しました。 可愛い2人でいいですよねー╰(*´︶`*)╯♡ 引き続きよろしくお願いしますー!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ