最終話「始まり」
俺は目を覚ました。
見覚えのある天井。
ここは天国か?
いや、我が家が天国なはずがない。
俺はリビングへと向かう。
そこには母ちゃんがいた。
「あっ、用太郎。朝郵便受けを見に行ったらこんなものが入ってたわよ」
母ちゃんが一通の封筒を俺に手渡してくれた。
差出人を確認する。
「!!」
俺は差出人の文字を見て驚愕を覚えた。
差出人の名前にはカロン・カルライナと書かれていた。
「知り合い?」
「そうだね。知り合いだよ」
どういうことだ?
俺はあの時、ちゃんと十字架に磔にされて、
クレスに心臓を剣で突き刺されて死んだはず。
あの世界で体力が無くなって死んだら、
現実世界でも死ぬんじゃなかったのか?
意味が分からない。
とりあえず、俺は封を切り、その中に入っている手紙を取り出した。
手紙の内容を確認する。
”おめでとう。君は本物の勇者だ。”
手紙の内容はこうだ。
どうやらカロンは俺を試していたようだ。
もし、俺が誰かを身代わりにするようなことをすれば、
俺を殺したらしい。
だけど俺はそれをせず自分の命を犠牲にすることを選んだ。
カロンはそれに感銘を受けたのか、
現実世界の俺の命を奪わなかった。
彼の目的も今いちよく分からない。
俺は学校から帰った後、パソコンをつけ
カードバトルオンラインをやろうとした。
しかし、カードバトルオンラインはサービスを終了していた。
どうやらこのゲームの開発者、カロン・カルライナが行方不明になったそうで、
そうなった以上、プログラムの更新が出来ないため、
これ以上サービスを続けるのは厳しいといった内容だった。
数日後、このゲームを巡ってデモまで起こっていた。
やはり、世界で三千万人もプレイしているゲームだからだろうか。
よっぽど人気があったんだなあと思う。
しかし、カロン・カルライナ。
いや、エレーデス・ジャック
彼は一体何者なんだ?
どうやってこの世界にやってきた。
ウィキペディアには彼の生涯だって載っている。
しかし、彼はどうやってその生涯を送ったんだ?
異世界からやってきたってことは、
この世界での生涯は不明でもおかしくないはず。
分からない。
けど、これで終わったんだ。
俺は救ったんだ。
カードゲームで世界を……。
しかし、これでまた一つ楽しみが減ったな。
カードバトルオンライン。
俺が今までやったゲームで一番好きなゲームだった。
後日、俺は学校へ向かった。
さて、今度はどんなゲームをやろうか?
そう悩んだ時、友達が俺を呼んでこう言い放った。
「用太郎。面白いゲームを見つけたぜ」
カードゲームで世界を救う!?
長かったですが無事完結することが出来ました!
いろいろと至らないところもありましたが、それは別の作品で活かそうと思います。
ここまで応援してくれた皆様には本当に感謝です!
それでは皆さん。また別の作品で会いましょう。
アデュー。




