第九十二話「相談」
俺はどうしたらいいんだろうか?
他のプレイヤーを誰か殺せば俺は助かることになる。
だけど本当にそれでいいのか?
そうだ。
このこともクレスに相談してみよう。
”アダム>>クレス:クレスさん”
”クレス>>アダム:何だい? アダム”
”アダム>>クレス:話があります”
俺はクレスを呼び出した。
クレスはSSS本部を抜け出し、俺と話をしに来てくれた。
「それで、話ってなんだい?」
俺はまたもやクレスに全てを打ち明けた。
俺のアナウンスにプレイヤーの誰かを身代わりにすれば助かること。
俺はこのことをクレスに伝えた。
「どうしたらいいんですかね」
クレスはしばらく黙り込んだ後こう言い放った。
「君が決めればいい」
「またそれですか」
俺は思わず反論する。
こっちは大事な話をしているんだ。
それを君が決めればいいと片付けるのはどうかしてると思う。
「それをするかはしないかは君の自由だ」
「それが分からないからあなたに相談しているんですが……」
俺はさらに反論する。
「それじゃあ、僕が君の身代わりになってあげようか?」
正気か?
いくらクレスとはいえ、自分の命を差し出すとは。
俺はしばらく黙り込んでしまった。
「その様子だと迷ってるみたいだね」
クレスは俺のその様子を察したみたいで、
次に答えが決まったら、また呼んでくれと声をかけてくれた。
どうする? 俺
クレスを殺せば俺は助かることになる。
クレスはそれを許諾している。
クレスを殺せば……。
ダメだ。
出来るわけがない。
でも、そんなわけにはいかないよな。
夕食後。
俺はラーラにもこのことを話した。
ラーラは
「ダメだよアダム! 人を殺すのは罪を被ることになるんだよ」
そう言い放った。
確かにそうだよな。
クレスを殺せば俺は助かる。
しかし、俺は一生そのことを引きずって生活することになるだろう。
何だかラーラに言われてスッキリしたような気がする。
「ありがとな。ラーラ」
「え? 何が?」
ラーラは不思議そうな顔をしていた。
いいんだ。これで。
さて、どうしたものか。
俺は浸すら悩んだ。
人を殺すのはやはり俺の精神状態に多大なダメージを与えることになる。
そんな重いことを背負いながら生きていくだなんて俺にはできない。
それじゃあどうする? 俺。
自分の命を差し出すのか?
でもそうすれば母ちゃんが悲しむことになる。
悩んだ末、俺が出した結論は
自分の命を差し出すことだった。




