第七十六話「クレスの頼み2」
現在俺は、グランガにいる。
ラーラをここまで連れてくるのには結構苦労した。
この世界の珍しいものを見つけては
「あれ何? これ何?」
としつこく質問攻めにし、
寝ている俺に向かって、
「ダイナマイトインパクト!!」
と意味不明な発言をしながら俺の腹部に大ダメージを与えて起こしてくる。
いや、実際少量だが体力が減っているのだ。
やめてもらいたい。
途中ブラたちとも会った。
ブラには
「彼女?」
と聞かれた。
誰がこんな女と付き合うもんか。
俺の彼女にはしたくない女ランキングベスト5には入るぞこの女。
さらに酷いことにミリーユが彼女に俺の女装写真を見せ、
それを見た彼女は俺に女装を強要してきた。
もちろん、やりましたよ。ええ。
これで俺の黒歴史が1ページ増えましたよ。ええ。
さて、SSS本部に辿り着いたわけだが……。
「わあ! でっかあああああい!!」
ラーラの好奇心は相変わらずだ。
クレスには事前に連絡を入れてある。
SSS本部に待機しているので、彼女を連れてきたら呼んでくれっとのことだ。
「それじゃあ、ここで少し待っていてください」
「やだ! ラーラも行く!!」
……勘弁してくれよ。
「今からクレスさんを連れてきますから。お願いですから少しだけ待っていてください!」
「やだ!!」
この……糞アマああああああああああああ!!!
と叫びたくなるほど腸わたが煮えくり返った。
しかし、そこは大人な俺。
表には出さない。
とりあえずクレスに連絡を入れておく。
他にパーティを組んでいる様子も無いので、パーティチャットでもいいかな。
”アダム:クレスさん”
”クレス:どうした? アダム”
”アダム:ラーラを連れてきたんですが……”
”クレス:何かあったのか?”
”アダム:ラーラがSSS本部の中に入りたいそうです”
”クレス:別に構わないよ”
良かったな糞アマ。
クレスさんから許可が降りたぞ。
「それじゃあラーラさん。中に入りましょうか」
「うん!」
俺とラーラはSSS本部に入った。
中には予想通りクレスがいて、
他にも見覚えのあるメンバー。
もちろんグレの姿もある。
「こんにちは。クレスさん」
「こんにちは。その子がラーラだね」
「はい」
「わあ! 格好良い!!」
ラーラはそう叫んだ瞬間。
クレスに近寄った。
「あの……何かな?」
あのクレスさんが困ってらっしゃる。
やるなこの子。
「宜しければ私と付き合ってください!」
いきなり告白。
やるなこの子。
「いや、その……」
「こいつとは別に何ともないんです。本当です」
いきなり俺をこいつ呼ばわりとは。
やるなこの子。
「悪いけど……」
「うっぐす」
ラーラは泣き落としを発動した。
やるなこの子。
「友達からで……いいかな?」
「はい! よろしくお願いします!!」
クレスさん。
後は任せました。
「それでは俺はシャイリアに戻って次のこの世界に巻き込まれた人たちを探しに行きますね」
”クレス:アダム。頼みがある”
クレスがパーティチャットで話しかけてきた。
頼み?
何か重要なことなのかな?
クレスは真剣そうな顔をしていた。
大事なことなのだろう。
俺も真剣な眼差しで彼の頼みを聞く。
しかし、どんな頼みだろうか?
まあ聞けば分かることだ。
”アダム:いいですよ。何ですか?”
緊張の瞬間。
さあこいクレス。
俺はどんな頼みでも聞くぞ。
”クレス:彼女の世話を頼む”
俺は気絶しそうになった。




