第五十八話「現状報告」
「どう? 現実世界の様子は」
俺は現実世界の様子をクレスに詳しく語った
現実世界のカードバトルオンラインのスレッドでこのゲームをやめるよう伝えると荒らし認定されたことから
”ゲームをしてたら異世界へ迷い込んだんだが”という興味深いスレッドを発見したところまで
それをクレスはフムフムと頷きながら聞いていた
「ってな感じで」
「なるほど。残念ながら思ったようには行かないみたいだね」
「そうですねえ」
「まあ妥当だろう。現実世界に戻った誰もがこのゲームに関しての事は”夢”もしくは”関わってはならないもの”と判断してるだろうし」
「どうしようもないですね」
「ただ無駄ではないと思う。元の世界に戻ったら引き続きその活動を続けて欲しい」
また荒らし認定されろってのか
俺にカードバトルオンラインで嵐を巻き起こせってか!?
ってのは冗談で
とにかくこの活動は続けるべきだろう
今でもこの世界の犠牲者は増え続けるだろうし
「そういえばクレスさん」
俺は顎に手を当てながら考えてるクレスを横目に質問してみた
「何かな?」
「この世界に迷い込んだ人の数って何人ですか?」
「いい質問だね」
クレスは俺にグッジョブと言わんばかりの反応で返してきた
「どうも」
「僕が確認した数だと僕と君含め523人ぐらいだ」
「意外に少ないですね」
「そうだね。現実世界のカードバトルオンラインのプレイヤーの一パーセントにも満たない」
なるほど
俺は一パーセントの中に含まれてるのか
そう思うときせきぃ
じゃなくて
「それじゃあこの事件をきっかけに現実世界のカードバトルオンラインがサービスを終了するのは難しいですね」
「そうだね。現状ではどうしようもない」
「……」
「無駄かもしれないがとりあえず運営にもサービス終了を促すメッセージを送ったほうがいいだろう。もちろん理由込みでね」
クレスさんは俺にキチガイになってもらいたいようだ
ゲームの世界に迷い込む人たちを助けて欲しいなんて
現実世界の普通の人たちに伝えるとどうなるだろうか?
何言ってんだお前ってなりますよね!?
クレスさんそこらへん考えてくれてるのだろうか?
「おい! クレスさんまだですか!?」
そうこうしているうちにグレがSSS本部から出てきた
「ごめんごめん今行くよ! アダム。現実世界のことは頼んだ」
分かりました!
カードバトルオンラインに荒らしを巻き起こします!
キチガイメールを運営に送りつけてやります!
とりあえず俺とクレスの話はここで終わった




