第四十八話「お試し2」
俺は早速町の外へ出て
SSS本部へと向かった
黒い建物にSSSという白い文字
どっかの秘密結社にしか見えない
俺はその建物の中に入る
「すいませんクレスさんいませんか?」
「あ、この前のクソガキ!!」
一人の男が俺に近づいてくる
周りの皆がそれを止める
覚えている
前に俺がここで皆を説得している最中に切れた人物だ
しかし、彼、ブラに似ているな
すぐ切れるところなんか
むしろ人を見ただけでクソガキと罵って切れるなんて
ブラよりも悪質だと言える
しかし、俺はクレスが言っていたことを思い出していた
「僕の部下の中には現実世界にトラウマを持っている人もいるんだ」
もしかして彼が切れているのはこれが原因なのだろうか?
まあそんなことはどうでもいい
俺はクレスに話があるんだ
「何か用ですか?」
一人の男性が俺に尋ねる
頭上にはファイヤーラビットという名前が表示されている
本名は……
って今はこんな情報はどうでもいいか
「クレスさんに用があって来ました」
「クレスなら別件で用があって出ていますよ」
「……そうですか」
クレスには伝えたいことがある
俺がこの世界で数日経って戻った後でも
現実世界では経った一日しか変化がなかったこと
いや、一日ではない
俺は現実世界では夜の11時に睡眠につき朝の7時に目を覚ました
実質8時間の変化しかないのだ
つまりこの世界と現実世界で時間のズレが生じているわけだ
まあそれが起こってもおかしくはない
現実世界の中でだって地球と宇宙じゃ時間のズレが生じるのだ
ましてやここは異世界
大きな時間のズレが生じてもおかしくはない
クレスはこの世界に関していろいろと情報を探っている
彼にこのことを伝えれば何かしら進展を与えることが出来るかもしれない
正直進展したところで何がどうなるかは知らないが
この世界と現実世界にとってプラスなことになってくれればと思う
しかし、今はクレスはいないか
……そうだ
ちょっと試したいことが出来た
俺は早速宿の自分の部屋に戻り
ベッドに横たわり目を閉じた




