第二十七話「クレス」
「デスフェニックス討伐を祝ってえ」
「カンパーイ!」
アダムスが乾杯の音頭を取る
デスフェニックス
報酬は50000Gで一人10000G……
ごっつぁんです
ということでその金で祝いを開くことになった
「ブラさん何かすいませんね」
「いやいいよミリーユちゃんは特別だから」
ミリーユの代わりにブラが金を払ったらしい
こいつもなかなかやるな
ニートのくせに
いやニートだからといって馬鹿にするのも良くないな
でもこいつ煽り耐性も低いしなあ
やっぱニートだからか?
でも
ああ、考えるだけで馬鹿らしい
とりあえずブラはコミュ力があるニートだということにしておこう
「いやあ、俺たちがまさかあのデスフェニックスを倒すことができたとはなあ」
「ほとんどブラのおかげだが」
アダムスとエディンがデスフェニックスのことに関して話をしている
確かに今回の活躍はブラのモンスターが大きかった
これでアダムスがまた考えすぎて一人で無茶をしなければいいのだが……
しかし、祝いの席で一番困るのは飯の味が分からないことだ
ブラはどうか知らんが俺は飯の味がわからず
ジュースの味も分からず
グルメを楽しむことができない
〇〇の宝石箱やあと叫ぶことも出来ないのだ
大変悲しい
そんなこんなで祝いは幕を閉じた
夜
俺は一人ギルドへ赴いた
もちろん、ブラはミリーユを口説くのに一生懸命なので
俺の手伝いはしないだろう
ということで一人だ
「見ろよ! あいつ」
「ああ、あのデスフェニックスを倒したやつだろう」
どうやら俺たちのことが噂として広まったらしい
噂って怖いね
「でもクレスさんには遠く及ばないよなあ」
クレス?
どこかで聞いたような……
そうブラから聞いたな
黄金の鎧を来た戦士だと
出来るだけ早く彼に会いたい
ブラから聞いた話によると彼はどうやら俺たちより先にこの世界へ来たらしい
つまり俺たちよりも多くの情報を握っていると言える
彼に会えばもしかしたら元の世界に帰ることができるかもしれない
しかし、彼がどこにいるか分からない以上
どうしようもない
ん? 待てよ
「あのーすいません」
「何だ?」
俺は俺たちのことを噂している男性に声をかけた
「さっきクレスって言いましたよね」
「聞こえてたのか!?」
「盗み聞きしてすいません、それで」
「それで……?」
「彼がどこにいるか知りませんか?」
「あいつは神出鬼没だからなあ、俺たちには分からないよ」
「そうですか、ありがとうございます」
とりあえず情報は集めておく必要がある
俺はギルドの受付嬢にも聞いてみた
「すいません、クレスという人物に心辺りありますか?」
「ああ、彼ですか、前にこのギルドにも来ていましたよ」
「本当ですか!? それで今はどこにいるか分かりますか?」
「確かグランガという街で活動していると聞きましたが」
情報ゲッツ
彼はグランガという街にいる
「ありがとうございました」
グランガという街についてはアダムス辺りに聞けば分かるだろう
それにしてもクレス以外にもこの世界に迷い込んだ他のプレイヤーはいるのだろうか?
ここまで来て他のプレイヤーに会えない事自体が不思議だ
もしかしてこの世界に迷い込んだのは
俺とブラとクレスの三人だけなのだろうか?
悩んでいても仕方がないな
俺は軽い依頼を受け
モンスターのレベル上げに励むのだった




