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閑話「クレスとエレーナ後編」


「なあ、エレーナ」「はい?」「君が何故、僕にそんなに良くしてくれるのか分からない。率直にでもいいから答えてくれないかな?」「前も言いましたが直感です」「それだけ?」

 エレーナは一呼吸置いて、

「昔の私を見ているようで心配だったのです」と答えた。


 僕とエレーナは白虎に乗り、いろいろなところを旅をした。時が経てば経つほど僕とエレーナの絆は深まり、何でも話せる間柄になった。


 そして、僕はとうとう切り出す。

「エレーナ、信じてもらえないかもしれないけど」「はい?」

 僕はエレーナに打ち明けた。僕はこの世界の住人ではないことを。エレーナはそれを黙って聞いていた。

「クレス」「ん?」「私は貴方の言う事、信じますよ」

「ありがとう……本当にありがとう」

 僕は涙を流す。


 その後、いろいろ話をした。僕がカロン・カルライナという人物について調べているということ。そして、僕はこの世界をゲームの世界だと認識していること。

「なるほど、この世界がゲームの世界だと」「信じてもらえないとは思ってる」「いえ、私は信じますよ。クレスは余計な嘘はつかない人ですから」

 余計な嘘? ちょっと引っかかる言葉だけど、まあいいか。

「すいません不愉快でしたか?」

 そういえば、エレーナは感も鋭いんだった。

「いや、気にしないで何でもない」「はあ」

 僕は一呼吸置いてエレーナと話を続ける。

「エレーナにとってはこの世界は普通の世界だよね?」「一応、この世界の住人ですからね。ただ」「ただ?」「私もこの世界に違和感を感じてはいるのです」「そうなのか」「ええ」

 

 話すこと数時間、話したいことは全て話終えた。

「エレーナ。ここまで話を聞いてくれてありがとう!」「いえ、こちらこそ」「だけど、僕のこの研究はある意味、危険でもある。僕のこの危険な研究に君を巻き添えにするわけにはいかない」「では、クレスはこれを一人でどうにか出来ると?」「それは……」

 エレーナの発言は一つ一つ鋭いな。

「前も言いましたが、命を粗末にするのはおやめなさい。それに」「それに?」「ここまで聞いた以上、私も当事者です」「エレーナ!?」

 エレーナはそう言うと僕を抱き締めた。

「クレス、これからの貴方の研究。私も積極的に力を貸しましょう」「エレーナ」「改めましてよろしくお願いしますね。クレス」「ああ! こちらこそ!」

 僕は一人じゃない。エレーナという強力な仲間がいる。これからの僕の戦いは一人じゃないんだ。カロン。君が何故、この世界を作ったのか。僕はその真相を確かめねばならない。エレーナの為にも。


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