プロローグ
拙い文章ですが、楽しんでいただけるよう頑張ります。
投稿頻度に関しては毎日投稿を目標に、続けられる程度でやっていきます。
よろしくお願いします。
黒い男の子と白い女の子、そんな二人が目の前に立っていた。
「この世界には闇の神と光の神っていう二人の神がいるんだ。僕が闇の神で、そっちの白いのが光の神。もう覚えたね」
「白いのってなんですか、白いのって!あ、私が光の神です。よろしくお願いしますね」
そしてどうやら二人はこの世界の神らしい。
ここは俺が始めたゲーム『Myth Craft Online』の世界。
今はゲーム開始直後のチュートリアルなんだが、神様直々にゲームの説明をしてくれている。
「僕らはこの世界を作った神なんだ」
「私たちはずっと暇だったので、人間とモンスターを作って戦わせてたんですが……それも最近は飽きてしまっていて」
「それで思いついたんだ。他の世界の人間を呼んだら面白いんじゃないかって」
光の神が少し俯いてそう言い、闇の神がにこにこしながら話を続ける。
「ということで、ようこそ異界の人間くん」
「私たちの世界、楽しんでいってくださいね」
……なるほど、これがゲームのバックストーリーってやつか。
それにしても、神様の見た目はファンタジーって感じなのに、話し方や仕草、動きはめちゃめちゃリアルで脳がバグりそうになる。
最近のゲームはすごいな。
「さて!早速だけど、どっちにつく?僕か、光の神か」
闇の神が手を打ってそう言った。
「まだ説明もしてないんだから選べる訳がないですよ」
「うーん、そうかな?人間くんは全部その場のノリで決めるタイプかもしれないよ?」
「この世界で一番大事な選択なんですから、説明を聞かないなんてありえません!そうですよね、人間さん」
「ほとんどわかってないので説明お願いします、光の神様!」
世界観も説明も、ほとんど見ずにゲームを始めたのでそう言うと、光の神はぱっと顔を明るくした。
「ほら、だから言ったんですよ!人間くんは説明を聞いてくれるいい子です!」
「……説明は聞くけど、読まないタイプだろ?全然この世界のこと知らないんだしさ」
うーん、図星だ。
ゲームの説明は必要になってからじゃないと読まないし、さっき闇の神が言った通り大体のことはノリで決めるタイプだ。
世界で一番大事な選択だなんて言われていなければ、ノリで答えていただろう。
「では、この世界の仕組みについて説明しますね!」
光の神はその名に相応しく、どこからともなく光を生み出しそれを操りながら話をしていく。
話をまとめるとこの世界には光と闇という二つの陣営があり、人類……人間やエルフ、ドワーフ、獣人などが属するのが"光"。
ゴブリンやドラゴンなど、いわゆるモンスターが"闇"に属している。
そしてプレイヤーはどちらか好きな方に所属できる、ということらしい。
「ちなみに光陣営は"職業"が成長していきます。最初は剣士や魔法使いから始まって、頑張れば勇者にだってなれるんですよ」
「闇陣営は職業がない代わりに"種族"が進化して成長していくんだ。運が良ければ人間くんだけの種族になれたりするかもしれないよ?」
「ということで説明はこのぐらいで、どちらを選ぶか決まりましたか?」
なるほど、大体理解した。
どちらも面白そうだが……
「モンスターになれるとか絶対面白いよな……」
エルフやドワーフみたいな変わり種もあるとはいえ、人間よりもモンスターの方が絶対に非現実的で、間違いなく面白い。
そんな衝動が口から漏れた。
「性悪な闇を選ぶんですね……残念ですが、仕方ありません」
「僕を選んでくれて嬉しいよ、人間くん。それじゃあ次は君の体を作っていこうか」
光の神が残念そうな顔を、闇の神が勝ち誇った顔をしてそう言うと、視界にキャラクター作成用の画面が現れた。
ここでもまた神様たちの説明が入ったりしたけど、長くなるから詳細は飛ばすとして。
色々あって俺は……ミミックになることを選んだ。
「色々とお疲れ様でした人間さん。あなたの冒険が良いものとなることを願っています」
「それじゃ、頑張ってね。光陣営に負けないでよ」
二人の神がそう言うと、俺の視界はだんだんと黒く染まっていく。
こうして、俺の……なんかやばいミミックの冒険が始まったのだった。
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