三層㊳ 復讐
矢はナイフで弾かれた。
矢を番えつつ、岩礁のナイフに向けて跳ぶ。
ナイフの柄を踏むとそれを踏み台にしてもう一度跳んだ。
ちょうどイルマスの頭上を飛び越える形になると膝の裏に向けて矢を放つ。
流石に背後には対応できないようでそのまま矢は弾かれることなく、膝の裏に刺さった。
これで治療されない限り、奴は動けない。
後は矢を構えて威嚇しつつ降参するようにイルマスに呼びかけるだけだ。
着地して矢を構えようとするとふくらはぎに痛みが走った。
視界の隅を確認すると地面に血が滴っているのが見えた。
跳んだ直後にふくらはぎをナイフで切られたようだ。
動けないほどじゃないが、機動力を大きく削がれたのは確かだ。
これで奴が参らなかったら、どう転ぶかわからないな。
「イルマス、膝抜かれたんだ。それ以上戦うのは無理だろう。ここで手打ちにしよう。これ以上やったら死人が出る」
「僕のことですか。心配ご無用です。復讐を誓ってから死ぬことなど考慮に入れていません。たとえ死のうとも何としてもこの誓いは果たします」
イルマスはインベントリから大剣を呼び出すとこちらではなくリッチャンに向けて掲げた。
「馬鹿が! この距離でやる気か! 自分まで巻き込むぞ!」
「構いません」
イカれてる。
ここまでとは……。
――パワーショットLV1
――貫通付与
奴が振りかぶると同時に大剣の持ち手を貫いた。




