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僕の彼女は静かで優しい女の子だった  作者: ルイ シノダ
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GWがやって来た


俺水森明人。

 明日からGW。今年は前半三連休一日おいて六連休だ。俺は学生なので社会人程休みに執着はない。


 休みの間の日も授業は入れてある。アパートにいるより学校に行って授業を聞いて図書館と学食を使った方が余程いい。


 とは言っても紗耶香とのデートはしっかりと入れてある。全部紗耶香にしたかったけど、京子さんからいつアパートに行くか分からないわよと脅されて、仕方なく前半三日間だけ会うとこにした。


 紗耶香には学校で調べものと言ってある。ごめん。でも後半六日間は紗耶香と一緒だから。


 紗耶香に悪いと思うけど、京子さんとの事はもう少し伏せておきたい。狡いと自分でも分かっているけど、最後は紗耶香を選ぶ。自分でそう思っている。



 とは言いつつ、何故か目の前に京子さんがいる。そう思い切り目の前、ローテーブルを前にして胡坐をかいて座る俺に向かう様に足の上に座っている。彼女の腕は俺の首に回している。

 仕方なしに俺の腕は彼女の背中に軽く回している。


 そして京子さんはさっきから俺の顔をジーっと見ている。


「きょ、京子さん、何か顔に付いていますか?」

「別にー!」

「…………」


「あの、もう午後九時ですけど」

「それがどうかしたの?いいじゃない。女の子は好きな人に寄り添っていたいものよ。それに明日から三日間ずっと一緒だよ」

「それはそうですけど」

「そうよ」


 うっ、いきなりキスをして来た。


「ねえ、後半六日間の内、どこかで一日位会えない。……分かっているわよ。でもね六日間も会えないのは厳しいわ」

「でも……」

「何とか上手く言い訳考えて。ねえ」

「…………」



……………。



一条紗耶香視点


 明日からGW。明人は、大学で調べ物があるからと最初の三日間は会えない。本当はずっと会っていたかったのだけど。


 彼の勉強の邪魔をしてまで甘えてはいけないから。その代わり、後の六日間はずっと一緒にいれる。最初の三日間は明人のアパート。残り三日間は私のアパート。ふふっ、ずっと彼に甘えていられる。嬉しい。


 最初の一日は、部屋のお掃除や洗濯して、次の日は夏用品の買物。でもどこ行ってい良いか全く分からない。大学で友達になった遠藤さんを誘ったけど、彼女はずっとバイトをいれているらしくて会えないと言っていた。


 買物は後でも良いかな。明人と一緒にスカイツリー以外に表参道とか渋谷にも行く事にしている。映画も一緒に見る予定。だからその時でもいいし。


 でもじゃあどうしよう。復習でもしているか。まだ午後九時かあ。ちょっと明人に電話してみようかな。


…………。

明人の部屋に戻ります。


ブルル。ブルル。


「明人、スマホが鳴っているわ」

「はい」

 不味いな、多分紗耶香だ。


「早く出ないの。いいわよ。私何もしゃべらないから」

 全く、この人は!



『はい』

『明人、紗耶香。今どうしているの?』

『うん、ちょっと明日からの調べ物のポイントをまとめている所。もうすぐお風呂に入ろうかなと思っていた』

 ごめん紗耶香。


『そう、忙しい所ごめんね。ちょっとだけ明人の声聞きたかったから』

『そうか。今何しているの?』

『そろそろお風呂に入ろうかなと思って』

『そうか。じゃあそうするか』

『うん、一緒に入っているつもりで、ねっ!』

『そうだな』


『じゃあ、明日から三日間頑張ってね。会えるの楽しみにしているから』

『ああ、じゃあな』

『うん』


 電話をしている途中から京子さんの顔が険しくなって来ていたが、終わると

「明人、あなたも罪な人ね。私を抱きながら彼女に電話するなんて」

「いや、抱いては……」

「同じ事でしょ」

「…………」

「ふふふっ、いいわ。じゃあ一緒にお風呂入りましょうか。彼女も入るんでしょ。でもあなたには私がいるのよ」


「でも、俺の所のお風呂狭すぎるから」

「いいじゃない。狭くて」

「い、いやでも」

「じゃあ、私の部屋に行く?」

「それは」


「ふふっ、さっ、行くわよ。あ・き・と」





 明人を強引に私のマンションに連れて来て、でもお風呂には一緒に入らなかった。流石にまだ恥ずかしい。あの時はとは違うから。


 先に明人に入って貰った。仕方ない。女性の方が長いから。



 お風呂から上がると、リビングで

「明人、どこか行きたいところある?」

「いえ、特に」


 紗耶香と会った時、俺が知っていると彼女に疑問を感じさせてしまうから、ここは別の所がいいだろう。


「京子さんに任せます」

「もうデートは男がリードするものよって訳にはいかないわね。いいわ。明日一緒に朝食食べながら一緒に考えましょ。ねえ、明人それより……」


 ふふっ、今はこれでいい。あの子(一条さん)には、いずれ私と明人の仲をはっきりさせる。彼女には悪いけど、明人は私のものよ。




 京子さんが俺の隣で目を閉じている。本当に綺麗だ。俺は紗耶香の事が好きだけど、京子さんと別れるという選択肢も最近少なくなって来ている。


 京子さんは俺が紗耶香と付き合っている事を承知の上で俺との関係を持っている。完全に京子さんの手の平の上という感じだ。

 

 俺だったら許さない。…綾乃は俺を裏切った挙句紗耶香まで貶めた。


 でもあの時俺が綾乃を許していれば…。もちろん元に戻るなんて出来ないけど。もっと別の接し方をしていれば。いや無理だ。俺はそんな器量は持っていない。


 この人はそれを持っているというのか。紗耶香と付き合う事を許した上で、俺と付き合っている。

それに甘えている俺自身。でも京子さんと別れるという選択肢は今の俺にはない。判断は先で良い。

 

「あっ、明人起きてたの?」


 あっ、ちょっと。いきなり口付けされた。


―――――

 

 判断を先延ばししてもなー。

 

次回をお楽しみに

 

面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 明人の迷いっぷりがだんだん激しくなっている [一言] 更新ありがとうございます 紗耶香と完全に復活する前の 物語上の不安演出なのでしょうが ちょっと明人の迷いが長くて 読者としては不…
[一言] 完結もうそろそろかな?個人的にはハッピーエンド希望したいですが・・・
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