プロローグ2
「おう、来たか」
家の前の雪かきでもしていたのか、手に長柄のスコップを持ち防寒着を着込んだジャナフはシウバと共に歩いてきたエイジを見つけそう言った。
「こんにちは」
「おう。取り敢えず、中に入れや。今カミさんが飯作ってんだ、食ってけよ」
「ありがとうございます。いただいてきます」
「お、いい時間帯に来たみたいだな」
「お前の分はねーぞ」
「そ……んな……嘘だろ……」
「…………冗談だ」
そんなことを話しながらジャナフは扉を開けた。
◇◆◇◆◇
「まぁ、坊から聞いてると思うが仕事の手伝いを頼みてぇんだよ」
ジャナフが語ったことを纏めれば、村の備蓄が少ないということらしい。
たしかにそれは納得できる話だろう。
ほんの数ヶ月前に、ジャナフが狩りに行く森には多くのゴブリンが居たのだから。
ゴブリンは魔物──発生原因の解明されていない生き物ではあるが、なにも仙人のように霞を食べて生活をしているわけではない。人間と同じように、獣を狩り、肉を食べ、頭のいい統率者が居れば畑作──そう言えるのか分からない程お粗末なものではあるが──をし、場合によっては人間を食べ、飢餓に陥れば同族も食べる。
ある意味、一番人間に近い生態を持つと言ってもいいだろうゴブリン達が大量に居た森にはゴブリンによる乱獲のせいか、それとも逃げたのか今となってはそれほど多くの動物が居なくなってしまっていた。
その為だろう。
未だ村が冬を越すのに十分な量の肉を蓄えられていないのは。
「かまいませんけど……いつからです?」
ギークに色々なことを教わりながら、手伝いをしているエイジとしてはいつからかというのは非常に気になることだ。
「早ければ早いだけいい。それこそ、今日の夜からでも」
基本的に、この世界の動物とエイジの世界の動物の種類は類似している。だが、その生態が大きく異なることもあれば、エイジの世界では見られないような進化を遂げた動物もいる。
その中には夜行性の動物も居る。
それを踏まえれば、夜に狩りをするというのもわからない話ではない。
巧妙に隠れているときよりも、活動をしているときのほうが見つけやすく狩りもしやすい。
それもまた、わからないことではなかった。
「わかりました。今日の夜からでいいんですね?」
「ああ。今日の夜から明日の朝にかけてだ」
ジャナフの言葉に、エイジは頷いた。




