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劣勢

ゴブリンの群れとの戦闘時間は30分を大きく超え、1時間に届こうとしていた。

それだけの時間が経った中で、叡嗣たちはゴブリン達の数を当初の半分以下に減らしていた。

だが、叡嗣たちも無傷でというわけにはいかなかった。

村人達は殆どが傷を負い、ポーションを使い切り後方に下がっており、現状戦っているのは叡嗣と冒険者達とジャナフ、そしてギークだけだ。


それにゴブリンの数を減らしたといっても、戦況は芳しくない。


ギークとルシエラの魔法や、叡嗣とガイ、ローマンなどによる攻撃で倒したのは殆どが普通のゴブリンやゴブリン兵士、ゴブリン戦士といった比較的下級のゴブリンだ。

もちろん、それが悪いわけではない。

ゴブリンが危険であるのは、その多さにも由来するし、群れの半分以上を処理できているのだから。


しかし、戦力としては削れたのは当初の1/3程度しか削れていない。


残るゴブリンは、殆どがゴブリン系のモンスターの中では上位に位置付けられるようなものばかり。

ゴブリン騎兵(ライダー)、ホブゴブリン。

さらに、通常の状態でもゴブリン戦士二体分の強さのホブゴブリンの上位種であるホブゴブリン戦士(ウォリアー)


「やはり居ましたか……」


そう呟くギークの視線の先には堂々と仁王立ちする成人男性程の大きさのゴブリンとそれを守るように立つ二体のゴブリンに粗末な木の杖のようなものを持ったゴブリンに、小さな骨を繋いだ首飾りを着けたゴブリン。


ゴブリン将軍(ジェネラル)

長剣と鎧を装備した、ゴブリン種を統率する能力のあるモンスターだ。

そのゴブリン将軍を守るようにしている二体は、ゴブリン騎士ナイト。その頭には兜を着け、盾と剣を持っている。

杖を持っているのはゴブリン魔術士(ウィザード)

簡単な魔法を使うモンスターだ。

奇妙な骨の首飾りを着けているのは、ゴブリン祈祷師(シャーマン)

これまた簡単な魔法を使うが、それ以上に回復系の魔法を使うことが厄介なモンスターだ。


「これは……本格的にまずいですね……」

「『────《氷柱の雨(アイシクルシャワー)》』…………そんなにですか?」

「ええ、なかなかに」


ギークはルシエラの質問にそう答える。

ルシエラにはかなり自分を過大評価している節がある、とギークは感じている。

だからだろう。ギークが居るなら平気なのではないかというトーンでルシエラが訊いてきたのは。


ゴブリン将軍は、単体でもかなり強いというのを実際に戦った経験からギークは知っている。

剣技は7等級銀級(シルバークラス)の冒険者と互角以上に打ち合っていたことから、恐らくはLvⅢ以上の【剣術】スキル並であり、ゴブリンの大きすぎる弱点である知性も多少であるが良くなっている。

さらに、その身体能力も高く、それだけで見るなら6等級冒険者にすら匹敵するのではないかとギークは考えていた。


現状、この場には単純な戦力として6等級冒険者に匹敵するものは自分しか存在しないとギークは思っている。

これは、自信過剰なわけでもなんでもなく、れっきとした事実だ。

ギークは、ルシエラも言っていた通り元王立魔術学園の教師だ。

王立魔術学園。

叡嗣は知らないことだが、そこは入学できればエリートとして認められ、卒業できなくとも在籍したという事実だけでこの王国内なら一生食べていけるだけのネームバリューを持っている。

魔術師という限られた人間の中でもさらに限られた、特に優れた者しか入学できない学園の教師、講師というのもまた優れた才覚を求められる。

そこの教師だった、それだけでもギークの才能というものが優れているのがわかるわけだ。

そんな中で、ギークは若くして学内序列5位の教師だったわけで、その戦闘力は折り紙付きと言える。


そんなギークですらマズイと漏らす理由がある。

それは、ずばり単純に戦力不足である。


基本的に、モンスターとの戦いは集団戦だ。

ゴブリンなどの下級モンスターであれば一対一でも戦えるが、ゴブリン将軍などとなるとそうはいかない。

タフになり、力も強く、俊敏で、個体によっては様々な武技(アーツ)を使う。


確実に勝つために、一対一ではなく、一対多で戦う。それが普通だ。


ギークの瞬間的な火力はとある理由で制限されているが、かなり高い。当てられれば、ゴブリン将軍を倒すことは高確率で可能だ。

だが、ギークの得意分野である魔法は往々にして強いものほど構築に時間が掛かるし、その間は無防備になってしまう。

それを補う技術もあるにはあるが、威力の低下は免れず全力が出せないこともあり使用するにはリスクがある。

そうなれば、やはり詠唱をして構築をする必要があるのだが、それをゴブリン将軍というものが見逃すはずもない。

そのため、詠唱中のギークを守る必要があるのだが、ここで戦力不足という問題が出てくるのだ。


ガイは専業の戦士だが、冒険者としては8等級だ。

6等級並みの身体能力を持つゴブリン将軍が本気になれば、その動きについて行けないだろうし、武器も貧弱だ。

次にローマン。

彼は等級こそガイと同じ8等級だが、本来は戦闘を主とするような人間ではない。どちらかといえば、神の奇跡と言う名の魔法を使い、援護をすることを得意としている。

その次にジャナフとカミラ。

どちらも弓士であり、直接的な戦闘でゴブリン将軍を止めることはおろか、取り巻きすら倒すことは難しいだろう。


そして、最後に叡嗣。

身体能力はガイと同じくらい。しかし、【剣術】スキルのレベルは5等級冒険者に匹敵し、魔法を扱える。

だが、ゴブリン将軍との戦闘は難しいだろうというのがギークの見解だ。


「一旦下がってください!!」


ギークは戦闘をしているガイ達に指示を出した。

ガイは、丁度ゴブリンを倒し、頷いてからゆっくりギークの方へ戻り、ローマンは比較的近い位置に居た事もありすぐに戻ってくる。


だが、叡嗣は……


また、多くのゴブリンに囲まれ戻ることが困難になっていた。

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