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【短編】シリーズじゃないシリーズ

木枯らしにも負けない

作者: 千東風子
掲載日:2026/01/01


なろうラジオ大賞に遅刻した短編です。

(*>ω<*)


よろしくお願いいたします。

m(_ _)m



 

 まあ色々あったけれど、要するに、結婚を意識していた相手に貢いだ挙げ句フラれ、仕事に支障をきたして職を失い、家賃を払えずに家を追い出され、もとより天涯孤独の身、行くあてもなく生まれ育った町を出ようと、精霊が冬を呼ぶ木枯らしに背を押されながらトボトボと歩いているのが今ね。


 こいつ浮気してるな、とは思っていたけれど、まさかの自分の方が浮気相手。

 問い質したら「婚約してるのを知ってて合意の上でしょ?」と。

 (いち)騎士様の婚約なんて知るかっての。有名な将軍でもあるまいに。


 クズ発言過ぎて、思わず固まって何も言えずにいたら、あいつが立ち去ってそれで終わり。


 確かにあいつからの愛の言葉は曖昧で、町中(まちなか)でデートしたことはないし、会うのはいつもこっちの部屋。

 服やら靴やら指定された物を買って渡し、あいつのためにご飯を作って、その後はイチャイチャするだけ。


 そういえばあいつ、笑顔ひとつで金は一度も出したことないな。

 手土産は自分がのむ酒ばかり。

 酒以外……あいつから何かを貰ったこともないや。

 貯蓄はあっという間に底をついた。


 友人たちから「イヤイヤイヤ、ないわぁ~」と言われて、やっかみ? って鼻で笑っていた自分。

 そんなんだから白い目で見られて職を失い友人も離れていった。


 自分、滅っ茶苦茶……恥ずかしい!!

 両想いだと思い込もうとして目を細めて耳を塞いだ。

 恥ずかしくてその辺を転がり回りたい。嘘。今誰もいないからもう転がり回っている。

 うわあぁぁぁ~。

 恋愛脳、怖い!! 頭の中身、お花が咲き乱れて綿毛が飛んでたの!? 思考能力はどこ行ってたの!?


 あいつのどこがそんなに好きだったのかなぁ。

 顔と体か。

 まあ、うん……ハイ、ね?


 でも。

 でもさ。

 よく考えたらなんか腹が立ってきたな?

 のめり込んだのはこっちだけど、告白はあいつからなんだよ。婚約者がいるなんて言うはずもなく、それで交際なんて結婚詐欺みたいなもんじゃん。


 馬鹿なのは俺だけど……悪いのはあの女だわ!!


 ぶっ叩いてやりたいくらいだが、俺の手が負けるし、肉食女騎士は本気で強いから無理だ。

 せめて拾った小石を投げて指差して罵ってやりたい。俺を弄びやがって。


 転がっていた俺が土を払って立ち上がると、精霊が「もういいから次行きなよ!」と、より一層強い木枯らしを吹きつけてきたが、逆風なんかに負けるもんか。


 俺はあいつを指差すために町へ戻る一歩を踏み出した。


 (よっわ)って笑うなよ!?

 次はもっといい人見つけるからな!!



読んでくださり、ありがとうございました。

1000文字、練るの楽しいけど難しい……。楽しんでいただけたら嬉しいです。


今年もどうぞよろしくお願いいたします!

m(_ _)m





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