幸せを感じてしまう
温かい……。
前世でも天気を予想するのは難しかった。そして今、あの冬晴れの空は一転。鈍色に変わり、ハラリ、ハラリと雪が舞い落ちてきていた。ヴァルドの言っていた天気の急変が起き、雪が降って来ていた。
穴の中は、周囲を土に囲まれている。
それでも底冷えをしていた。
だが、その寒さは一瞬だった。なぜならヴァルドの魔術で、私の着ている服は、ぽかぽかと温かい。さらに今、私はヴァルドに抱き寄せられていた。
獣は寄ってくることはなく、雪は降っているが寒くはない。
ずっと立ちっぱなしではあるが、それは戦士の役割をこなす時でもそうなのだから、あまり気にならない。
というか……幸せを感じてしまう。
ヴァルドの胸を独占できる幸せを。
この引き締まった胸の中にいることで、守られている……と感じてしまう。……獣が来たら、いくらでも私は戦うつもりだけど。
「眠くなっていないか?」
「! すみません。リラックスし過ぎて、体重を……その、預けていました」
「それは別に構わない。疲れるだろうから、わたしにもたれるといい」
そういうわけにはいかない。疲れるのはヴァルドも同じだ。
ここは何か会話でも。
「……あの、図々しい質問をしてもいいですか?」
「ああ、構わない」
「ロープをソルレンに渡すことはできなかったのですか、魔術で」
「残念だが魔術では、ゼロから物を作りだすことができない。ロープの材料となるものがあれば、それを組み合わせ、魔術によりロープを用意できるのだが……」
これには「なるほど~」だった。さらに。
「ちなみに村からロープを転移させるのは、魔術としては難易度が高い。魔法陣を描ければ、この場からロープを別の場所に移すことはできる。だが村のどこかにあるかもしれないロープを見つけ出し、それをここへ転移させるのは……。難しい。時間もかかり、魔力も消耗する。距離を加味すると、村まで戻り、ロープを取って戻るのが妥当だ」
「そうだったのですね。……魔術のこと、分かっているようで、分かっておらず。お門違いな質問をしてしまい、ごめんなさい」
するとヴァルドはぽすっと私の頭に手をのせ、優しく髪を撫でる。
「魔術の情報は、わたしの一族が外に漏れないよう、努めているからな。よって知らないことの方が多いはず。気にする必要はない。ただ、ロープをソルレンに渡すことはできなかったのか。そう聞いたということは……」
そこでヴァルドは寂しそうな表情になる。
「わたしとここで二人きり、というのが、ミアは嫌だったのか?」
「!? ど、どうしてそうなるのですか!?」
「早くここから出たいのかと」
「そ、それは勿論、出たいですよ。殿下に、ご迷惑をかけている気がしますから。何より、殿下は怪我人です。体を休めて欲しいという思いもあります」
ヴァルドの表情が緩み、見たことがない甘い顔になった。
「それはつまり、わたしを心配してくれたのか……?」
「そ、そうですが」
「……嬉しいな」
思いがけずぎゅっと抱きしめられ、リラックスしていた心臓が、一気に高鳴る。
嬉しいって、嬉しいって、どういうことですかー!?
「ミア。これを聞くのは、掟に反するだろうか?」
「……?」
「フロストの父親のこと、今も愛しているのか?」























































