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闇の眷属、俺。-進化の階梯を駆けあがれ-  作者: 山口遊子


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第99話 魔王襲来?!


「ダークンさん、わたしたちの三人団ですが、『三匹のさむらい』に変えちゃいますか?」


『いや、「三匹の侍」はいいが、「四匹の侍」というのはないんだ。これから闇の眷属の数が増えたら対応できないので、今のままでいいだろう』


「『四匹の侍』はどうしていけないんですか?」


『侍とはそういうものだから、としか言えんな』

 

「分かりました」


 いや、俺にも分からないことが分かったらしい。


 俺たちが外壁の上でのん気なことを話していると、西に傾いた陽に照らされて、かなり遠くに見えていたモンスターたちもだいぶ街に近づいてきた。中には大型のモンスターもいるようで、叫びなのか雄たけびなのか分からないがえ声がうるさく聞こえてくる。


「アズラン、どんな連中だか見えるか?」


「ゴブリン、コボルド、オークにオーガ。それにオオカミ系のモンスター、ゴーレム系と見たこともない大型のモンスターが後ろの方にいるようです」


『ゴーレムと大型のモンスターは手ごわいかもしれないが、あとはザコだな。トルシェ、どうする?』


「もう少し様子を見てみましょう。引き付けておけば、(のが)さず皆殺ししやすいですから」


 前提が皆殺しだったんだ。お見それしました。



 魔王でもいればつかまえてなにかの役に立てたいのだが、いたとしてもどこにいるのか分からない。残念に思っていたら、外壁の前、200メートルまで近づいていたモンスターがそこで停止した。何事だ? どうした?


 100メートルくらいになったら俺だけ飛び出して二人に援護してもらいながら大暴れして、それからリンガレングを使おうと思っていたんだが肩透かたすかしか?


 見ていると、モンスターの群れの中から、俺のような真っ黒い全身鎧が出て来た、後ろに真っ赤なマントをはためかしたさまは、まさに魔王さまだ。そいつは右手に巨大な斧を持っている。


 しかもその全身鎧からやや遅れて、人型(ひとがた)をした連中が左右に4、5人ずつ前に出て来た。身に着けている物もちゃんとした鎧のようだ。こいつらは、魔王さまとその家来連中に違いない。本当なら左右に二人ずつ居並いならんで「魔王軍の四天王(してんのう)だ!」とか言ってもらいたかったが、まあ多い分にはそれでいいだろう。


 それじゃあ、俺もあいさつをしないといけないな。


『トルシェとアズランはここで見ていてくれ、俺が危なそうになったら援護を頼む』


「はい」「了解」


 足元に、コロの入った鉄箱を置いて、


クカ(とう)!」


 なんとかライダーになったつもりで街の外壁から地面に飛び降り、こっちに向かって来る黒鎧に向かってゆっくりと歩いていった。



 跳び下りてから50メートルほど進み、相手との距離が10メートルほどになったところで、黒鎧が口を開いた。


「われの名は、『黒炎(こくえん)のアグナ』、この地に新しき魔王が立ったとの予言受けやって来たものだ。それで、わざわざわれらを迎えに出向いた貴殿(きでん)の名は?」


 しまったー! トルシェかアズランを連れてきてないから会話ができん。マズいぞ。しかし、『黒炎のアグナ』か、こいつはデキるヤツだ。C2-ポジティブに違いない。


「うん? 返答がないと言うことは、貴殿はわれらを迎えに来たのではないのか。であれば、こちらでわれと語りたいというのかな?」


 そう言って、『黒炎のアグナ』と名乗る黒鎧が右手に持っていた両刃の大斧(おおおの)を両手に構えた。


 受け答えができずにこの状況に投げ込まれてしまった。もう少し、魔王がどうのとか聞きたかったが仕方がない。もとより、やりあおうと思っていたわけだからもはやどうでもいい。


 俺もアグナが構えるのに合わせて、エクスキューショナーとリフレクターを構えた。アグナの後ろにいる連中は横に広がり、俺たちがやりあうのには手出しをしないようだ。


 こいつら、魔王軍かもしれないが、街にいた冒険者たちよりタチはいいようだ。こうなったら、正々堂々戦ってやろうじゃないか。危なくなったら、当然逃げもするし、トルシェたちに手助けしてもらうがな。最悪リンガレングを出せばいいだけだ。気楽なもんだ。


 そうタカをくくってはいるもの、ちゃんと体は戦闘モードに移行したようで、相手の動きが手に取るようにわかる。


 まされた知覚(ちかく)の中でアグナの動きがスローモーションとなり、ゆっくりと振り上げられた大斧が俺に迫ってくる。


 これなら簡単に、リフレクターを合わせられる。軽い気持ちで、左手のリフレクターを持ち上げて大斧に合わせた。そのはずだったが、リフレクターをすり抜けた大斧が俺の鼻先に迫って来た。なんだ? 何が起こった?


 大きくのけぞりながら、一歩、二歩と後ろにさがった。


「ほー、いまの一撃をかわすか。褒めてやろう。だが次の一撃はどうかな?」


 こんどは、大斧が斜め下から切り上げられた。斧の刃先からなにやら赤黒い瘴気(しょうき)のようなものが立ちのぼっている。この瘴気は、ふつうならヤヴァいヤツかもしれないが、俺には効きそうもない気がする。それどころかなんだかその瘴気を早く浴びたいほどだ。


 とはいえ、大斧をそのまま受けたいわけではないので、右から切りあがってきた大斧にエクスキューショナーの刃先を添えてパリーでかわそうとしたしたのだが、また空振りをしてしまった。


 グシャッ!


 大斧が思いっきり俺の右わき腹にめり込んだ。


 嫌な音がしたところを見ると、ナイト・ストーカーの変形と一緒に俺の肋骨の下(あた)りが何本か折れたのだろう。以前だったら、今の一撃で吹っ飛んだのかもしれないが、何とかその場に留まることができた。


 物理・魔法攻撃から装着者を守るはずの鎧で守られているはずのオブシディアン・スケルトン・ナイトの俺が、攻撃でダメージを受けたということは、今の攻撃はそれなりにすごかったのだろう。そう考えているわずかな時間で、ナイト・ストーカーのへこみも直ったようだ。


 視界がなにかゆらゆらする。


 あれ? 何だか俺の全身から湯気が出てないか? 湯気ではなく燃えてる? なんだかポカポカすると思ったら俺のナイト・ストーカーからいい感じの瘴気が漏れてそれで体が燃えているように揺らいでいる。


「今の一撃で吹き飛ばないか。だが、もう貴様(きさま)はおしまいだ。黒炎(こくえん)に焼かれ灰となって滅びるがいい」


 と、『黒炎のアグナ』さんがおっしゃってますが、俺としては、温泉に入っている心地だ。俺はこれからどうすればいいのかな?




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