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闇の眷属、俺。-進化の階梯を駆けあがれ-  作者: 山口遊子


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第72話 Bランク昇格、Bランクパーティー活動開始!


 窓口でギルドマスターにもらった紙を見せたら、すぐに手続きをしてくれたのだが、Bランクになると、Cランク以下と異なりちゃんとギルドで管理されるらしく、パーティー名を登録することが必要となった。これについてはトルシェも知らなかったようで、


「パーティー名を考えてなかったので少し待ってください」


 と言って窓口から脇に移動し、次の冒険者に場所をゆずった。


「ダークンさん、名前どうします? 今まで通り『チーム・ダーク・ブラック』にしときますか」


『何をするにも名前は必要なんだな。『チーム・ダーク・ブラック』のことはすっかり忘れてた。この際だから、もっとカッコいいのにしないか?』


「ダークンさん、『チーム・ダーク・ブラック』はよさそうな名前ですが?」


 まだまだC2(シーツー)駆け出しのアズランが俺の言葉を疑問に思ったようだ。


『せっかくの名前なんだから、もっと、カッコいいのが良くないか? いや、俺は決して「チーム・ダーク・ブラック」がカッコよくないといってるんじゃないぞ。そこは分かってくれよ』


「分かってますよ。あくまで、上を目指すその姿勢、さすがは、ダークンさん」


 やはりトルシェはこなれている。俺の目指す目標を一緒に目指そうとするその姿勢は評価できるぞ。


『しかし、俺たち三人を表して、しかも「チーム・ダーク・ブラック」よりもカッコいいとなると、かなりの難問だぞ』


「キーワードは、黒、闇、三人、それくらいですからね。そういえば、ちまたでは『~団』が最近流行ってるみたいですよ」


『「~団」か。「~旅団(りょだん)」てのもあったが、旅するわけじゃないしな』


「ダークンさん、その『旅団』ってなんです」


『俺もよくは知らんが、聞いたことだけはある言葉なんだ。語感はいいだろ?』


「いいけど、意味が分かんないんじゃ流行はやりませんよ」


『だな。そうすると、「黒黒団」「闇闇団」「黒闇団」か?』


「『チーム・ダーク・ブラック』よりは落ちますね」


『それじゃあ、なんだろうな?』


「あ、いいのを思いつきました」


『アズラン、なんだ?』


「はい、『三人団』はどうでしょう」


『うーん、アズランは、名前つけるの得意じゃないって自分のことを言ってたのを思い出させてくれるフレーズだな』


「ダークンさん、ものは考えようですよ。これぞまさに斬新ざんしん。こんなナメた名前のパーティーなんかありませんから、かえって目立ってカッコいいですよ」


『そうかー? なんだか串団子(くしだんご)みたいな名前だが、C2ポジティブ歴の長いトルシェがそう言うならそれにするか。「三人団」「三人団」「三人団」語呂(ごろ)もよくないが面倒だからもうそれで行こう。俺が、団長で、おまえたち二人が大幹部だ』


「了解」「はい」


 ということで、俺たちのパーティー名は『三人団』で登録された。俺たちの顔を見あげた窓口の受付嬢の顔がなんだかかわいそうだった。いや、かわいそうな人を見る目だったか?


 銀のカードは優先されるのか木札の時と違い、ほとんど待たずに窓口から手渡された。



 昇格の手続きが(とどこお)りなく終わったので、つぎは買い取り所に戻って先ほどのシルバー・ファングの査定(さてい)をギルドマスターに聞いたところ、討伐報酬込みで金貨15枚になった。俺にとっては、それがどの程度のものなのかは分からないが、アズランの鎖かたびら(チェインメイル)が金貨10枚だったからかなりの金額なのだろう。


 引き換えの書類を持って、今度は支払い所だ。そこで、さっきの紙を出して、金貨15枚をいただいた。むろん、現金の出納(すいとう)はトルシェの仕事だ。そして、俺はその金を使うのが仕事だ。ハハハ。


 

『それじゃあ、迷宮前の買い取り所に戻るか? その前に、おまえたち腹が減っているようなら、どっかで飯でも食べて来いよ。俺はいいから』


「なにか口さびしい気もするので、途中で串焼きか何か買い食いして歩きますから大丈夫です。アズランもそれでいいでしょ?」


「はい、もちろんです」


『それじゃあ、行こう』


 せっかくのBランクの銀カードなので、三人とも、木札から革紐を付け替えて首から垂らした。窓口から出口までまっすぐ歩けば、誰の邪魔じゃまにもならないのだが、カードがよく見えるように、胸を張って、あっちこっちと蛇行(だこう)しながら出口まで歩いてやった。


 羨ましそうな(めいわくそうな)顔で俺たちを見る暇があるのなら精進しょうじんしたまえ。



『大分時間がかかったな。日もだいぶ傾いた』


「まだ、明るいからいいですが、本当に日が暮れちゃうと、ダークンさんの『ナイト・ストーカー』が赤く光って目立っちゃいますね」


『とはいえ、そいつはどうしようもないからな』


「そうだ! ダークンさんマント買いましょうよ、マント」


『ほう。マントか。少しだけだが食指(しょくし)が動くな。表が黒で、裏地が赤。パッ! と両手を広げると、ふわっと広がって赤い裏地が見えてしまう。うん、いいじゃないか。さっそく買いに行こう。で、マントはどこに売ってるんだ?』


「ダークンさんが言っているようなマントがあるかどうかはわかりませんが、古着屋かどこかにあるんじゃないでしょうか」


『古着か。ちょっとテンションが下がるが止むをえまい』


「それじゃあ、ちょっと寄り道ですがこっちです」



 トルシェに連れられ今度は古着屋にやって来た。


 間口の狭い店で店の中は真ん中に通路を挟み、その両側にぎっしり古着が積み重ねられている。全身鎧の俺が中に入ってしまうと身動きがとれなくなりそうなので、トルシェとアズランに店に入って選んで来てもらうことにした。



『それで、トルシェが選んでくれたのが、このマントな?』


 確かに表側は、黒くてしっかりした生地だったのだが、裏地がなぜか、黄色地に黒い横縞(よこじま)、いわゆる虎柄(とらがら)だ。どっかの球団の応援団じゃないんだがな。しかも、異様いように大きなえりが上に立ち上がっている。


「どうです? かなりおしゃれでしょう」


 返答に(きゅう)した俺は、トルシェの問いには答えず、


『それで、こっちが、アズランが選んだマントな?』


 こっちのマントは、表は濃い緑色。そして裏地は黒。確かに、アズランらしいチョイスだと思う。まさに、闇に溶け込むようなマントだ。


 ここで、俺をじっと見つめるアズランの何かを俺に訴えかけるような目が俺のつぶらな目に入ってしまった。


『トルシェ、両方買ってくれるか』


 これが俺が出した結論だ。マイナス1×マイナス1は1になる。しかしこれはマイナス1+マイナス1かも知れない。まあ、いいだろ。このマントを着ることで後ろ指を指されようが、すべては、実績(じっせき)で答えてやろうじゃないか。まかり間違って、ここいらの冒険者から見たら、カッコいいと思われるかもしれないしな。




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